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フィンテックが門戸開いた、1兆ドルの金融市場

銀行は利用され、迂回され、分解される

2016年1月13日(水)

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 「フィンテック」 ~ 技術革新による金融サービスのデジタル化 ~ という言葉が、昨今の銀行業界を語るのに欠かせないキーワードになっている。米国シリコンバレーを中心に、技術力を駆使したベンチャーが革新的で利便性の高い金融サービスを開発して、銀行業界に参入している。
 ユーザーは「銀行」の存在さえ意識しないまま、便利な金融関連サービスを受けられる可能性が高まる。銀行業界が対応を誤ると、ただ利用され、迂回され、最後は分解されて、市場からの撤退を余儀なくされることになろう。

あなたも使う?「銀行」以外の金融サービス

 預金、貸付、送金、決済。これらは銀行が提供する基本的なサービスだが、銀行だけが提供できるサービスだと思ったら大間違いである。まずは、日本に既にある「フィンテック」の事例を紹介する。

 2015年8月24日に1日の利用者が10億人を超えたフェイスブック。そのメッセンジャーアプリを利用して、ユーザー間でお金のやり取りができるようになっている(米国内では米国の銀行が発行したデビットカードの登録が必要)。

 例えば、ランチの割り勘代金を友人に支払ったり、個人間のモノの売り買いの決済手段として使ったり、こまごまとしたお金のやり取りを、メッセージを送るような手軽さで可能にしている。しかも送金手数料は無料だ。日本国内では、楽天銀行の「かんたん振込」サービスと連携している(手数料がかかる場合もある)。

 こうした個人対個人の取引を可能にするサービスのことを、P2P(Peer to Peer)サービスと呼ぶ。これまでは1回ごとの取り扱い金額が少ないうえ、送金する金額に比して手数料が高いなどのハードルがあった。LINE Payも、LINEでつながっている相手ならば、銀行口座の情報を知らなくても、送金することができる。

 米国でさらにユニークなのが、eToroというサイトだ。eToroは、投資に特化したSNS(交流サイト)だ。だが、「いいね」や「フォロー」「シェア」をするのは、投資先や投資ポートフォリオである。しかも、投資先や投資ポートフォリオを提供しているのは、プロの投資家ではない。

個人投資家のポートフォリオに「いいね!」

 個人投資家が自分の投資状況をコミュニティ内で公開しており、メンバーは一定の手数料を払うことで、コミュニティ内で最も成功している個人投資家のマネをできる仕組みだ。金融機関がやれば「投資顧問」というれっきとしたサービスだが、同社はSocial Investment Network(ソーシャル投資ネットワーク)と呼んでおり、すでに世界170カ国に450万人以上のユーザーがいるという。

 個人向けだけではない。今や、書籍だけでなくありとあらゆる商品のEコマースとなったアマゾンは、商品を提供している日本国内を含む中小企業に「アマゾン・レンディング」いうローンを提供している。返済はアマゾンでの売り上げの一部を充てられる。中小企業向けの融資となると与信管理がポイントだが、アマゾンは独自のアルゴリズムを使って手間を省きつつ、リスクを管理している。

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「フィンテックが門戸開いた、1兆ドルの金融市場」の著者

田中 正朗

田中 正朗(たなか・まさあき)

マッキンゼー パートナー

金融・農業セクターを中心に、成長戦略策定、営業改革、タレントマネジメント、サービス・オペレーション品質の改善等のコンサルティングに従事。金融グループのリーダー。デューク大学経営学大学院修士課程修了。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

山本 竜馬

山本 竜馬(やまもと・りょうま)

マッキンゼーAP

金融機関を中心に、全社戦略、営業改革、ビッグデータ戦略などのコンサルティングに従事。金融グループの主要メンバー。京都大学大学院修了。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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