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トヨタの自動運転、知られざる開発方針転換

そして「その先」をにらむ日産

2016年1月19日(火)

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東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド」

 トヨタ自動車が、一線を超えた――。毎年1月、 自動車関係者が多く集まるイベントが東京ビッグサイトで開かれる。複数の自動車技術関連のイベントをまとめた総称として「オートモーティブワールド」というのだが、このイベントの一環として開催された技術セミナーで、自動運転について講演したトヨタのエンジニアの言葉に、筆者は耳を疑った。それは、これまでのトヨタの開発方針から、逸脱したものだったからだ。

 その発言は、「自動運転技術に対するトヨタの考え方」を説明したときに飛び出した。説明した「考え方」には、以下のような4項目がある。

  1. 「すべての人」に「移動の自由」を提供する
  2. ドライバーが運転したいときに運転を楽しめない車は作らない
  3. 運転したくないとき、できないときは安心して車に任せることができる
  4. Mobility Teammate Conceptのもと、人と車が協調する自動運転を作る

 これらの方針は、一見すると特筆すべきことは何もないように感じるかもしれない。しかし、これらの方針は、明らかにこれまでのトヨタの自動運転に関する開発方針から一歩踏み出したものなのだ。なぜならそこには、「完全自動運転」を目指すという方針が、明確に刻み込まれているからである。

 実際、講演したエンジニアは「すべての人に移動の自由」を提供するという方針を説明したときに、「運転ができない人にも移動の自由を提供したい」と語り、また「Mobility Teammate Concept」について言及したときには、「同コンセプトの考え方に基づきながらも“究極を目指す”」と明言したのである。運転ができない人に移動の自由を提供するということは、人の操作を全く必要としない自動運転の実現を意味し、「究極を目指す」という言葉も「究極の自動運転」すなわち「完全自動運転」を指すことは明白だ。

開発方針を大きく転換

 なぜこんな、政治家の発言の真意を読み解くような、言葉の解釈にこだわるかというと、トヨタはこれまで自動運転車の開発方針として、開発担当者や開発担当役員が「ドライバーを必要としないような自動運転車は作らない」としばしば公言し、自動運転技術を「人間が安心してクルマを運転できるようにサポートするための、ドライビング・プレジャーを向上させるための技術」と位置づけてきたからだ。「完全自動運転」すなわち人間のドライバーを必要としない運転技術を目指すとすれば、それはこれまでの開発方針を大きく転換することを意味する。

コメント10件コメント/レビュー

私もこれらの基調講演を聴講していたが、別に何も驚くことは無かった。むしろやっと本音で語れる環境がトヨタ社内に形成できたととった。世界トップレベルの自動車メーカーが完全自動運転の開発なくしてこの先はありえないので当然のことである。欧米勢のように花火を打ち上げて技術ドライバーとして育てていく手法に日本は馴染まず、無難な技術を積み上げてそのうち自動運転ができるようになればよいと言うスタンスだった(表向きは)が、そんなこと言ってたら開発競争で勝てるわけが無いと気づいていたはずだ。この業界にいればその程度のことは肌で分るはずなのに「筆者が驚いた」ということに驚いた。
どうも日本人は本音と建前を使い分ける悪い癖が世界にも通用すると思っているようだが、とんでもない誤解だ。トヨタ社内にもなんできちんと自動運転開発を真正面からやると言わないんだと思っていた開発者が沢山いたはずだ。(2017/01/23 09:49)

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「トヨタの自動運転、知られざる開発方針転換」の著者

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、2004年に自動車技術の専門情報誌の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、オートインサイトを設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私もこれらの基調講演を聴講していたが、別に何も驚くことは無かった。むしろやっと本音で語れる環境がトヨタ社内に形成できたととった。世界トップレベルの自動車メーカーが完全自動運転の開発なくしてこの先はありえないので当然のことである。欧米勢のように花火を打ち上げて技術ドライバーとして育てていく手法に日本は馴染まず、無難な技術を積み上げてそのうち自動運転ができるようになればよいと言うスタンスだった(表向きは)が、そんなこと言ってたら開発競争で勝てるわけが無いと気づいていたはずだ。この業界にいればその程度のことは肌で分るはずなのに「筆者が驚いた」ということに驚いた。
どうも日本人は本音と建前を使い分ける悪い癖が世界にも通用すると思っているようだが、とんでもない誤解だ。トヨタ社内にもなんできちんと自動運転開発を真正面からやると言わないんだと思っていた開発者が沢山いたはずだ。(2017/01/23 09:49)

 完全自動を目指すというのは、いわば当然であって、今までトヨタの方針が違ったことが驚きだ。

 気になる点もある。 
 「運転したいときに運転を楽しめない車は作らない」というのは、「あらゆる人に」と矛盾するのではないか?障碍者や、免許を持っていない人にとって、手動で運転する設備は不要であり、余計なコスト、車内スペースの無駄だ。

 私自身は、完全自動運転車を希望ながらも、たまに自分で運転を楽しみたいと思っているので、手動運転設備がほしいのであるが。

 (2016/01/20 16:37)

自動運転を含めて、ロボットや機械が人間と混在して協調して活動するのは簡単ではありません。
人工知能にイノベーションが起こって、過去のデータの学習による予測ではなく、未知の事象を想像して対応を考えることができるようになることが必要でしょう。過去のデータの学習による予測は「だろう運転」、未知の事象を想像して対応を考えるのが「かもしれない運転」と考えれば理解しやすいと思います。
その点で、「完全自動運転は遠い」として人工知能の研究開発に投資するトヨタの方がその先を見ているのではないでしょうか。とはいえ、そのTRIでも機械学習ベースの開発になるようですが。
そして、自動運転が可能なほど人工知能技術が発達した時には、人間社会が大きな変革を迎えるときでしょう。その時、「自動運転によって交通社会や自動車ビジネスがどう変わるか」なんてちっぽけな問題です。(2016/01/20 13:28)

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