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スズキは“不正”をしたのか

荒廃隠せない三菱の開発現場

2016年5月20日(金)

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記者会見で語る鈴木修会長(写真:AP/アフロ)

 この連載コラムは通常2週間に1回の掲載なのだが、今回はこの2週間でもう3回目だ。だから読者諸兄の中にはうんざりしている方もおられるかもしれないが、ご容赦いただきたい。5月18日に、三菱自動車の燃費偽装に関連して、再び大きな動きがあったからだ。

 三菱の燃費偽装を受けて、国土交通省が完成車メーカー各社に同様の問題がないか確認を求めていて、5月18日はその報告をする日に当たっていた。ほとんどのメーカーは問題がなかったのだが、ここで法令と異なる「走行抵抗」の測定の仕方をしていたと発表したのがスズキだった。

部品ごとの積み上げで算出

 スズキの何が問題だったのか? それは本来、実車を走らせて測定すべき走行抵抗を、実車ではなく、タイヤや軸受、変速機など部品ごとの個別の抵抗値を室内の実験装置で測定し、それを足し合わせて、車両全体の走行抵抗として国土交通省に提出していたというものだ。法令に規定されたやり方で測定していないという点で、「法令違反」であることは明らかなのだが、では“不正”なのかというと、そう言い切るにはためらいがある。善意すぎる解釈かもしれないが、スズキの今回の「違反」は、データをなるべく真の値に近づけようとして起こったことだからだ。

 この連載の第52回でも触れたことだが、「走行抵抗」とは何なのかについて、改めて説明しておこう。クルマの燃費や排ガスを国土交通省で測定する際には、実際にクルマを路上で走らせるのではなく、実験室内でシャシーダイナモメーターと呼ばれる台上試験機にクルマを載せ、この試験機上で模擬的にクルマを走らせて測定する。

 この測定の際、クルマが実際に路上を走っているときに受ける抵抗値を試験機に入力することによって、試験機で実際に走行している状況を再現して、燃費と排ガスの値を測定するわけだ。このときに入力する値が「走行抵抗」であり、完成車メーカー各社で測定して、国土交通省に提出する。この走行抵抗は、先ほども触れたように、実車を使った実験で測定することになっている。

 ところがスズキの発表によれば、現在販売している16車種について走行抵抗の測定状況を確認したところ、すべての車種で、実車を使って測定したデータではなく、タイヤ、ブレーキ、変速機などの、装置ごとの転がり抵抗の実測値や、風洞実験装置で測定した車体の空気抵抗の実測値を積み上げて走行抵抗を算出し、国土交通省に提出していたことが判明した。

 なぜこんなことが起こったのか。スズキは、同社が所有する相良テストコースが海に近く、丘の上にあることから風の影響を著しく受けることを理由に挙げている。最近のクルマは低燃費化のための転がり抵抗の減少や車体の軽量化により、風による影響を受けやすくなってきており、測定結果のばらつきが大きくなっていることが背景にあるという。

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「スズキは“不正”をしたのか」の著者

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、2004年に自動車技術の専門情報誌の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、オートインサイトを設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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