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軽の技術で進化した新型「パッソ/ブーン」

小型車ならではの魅力追求する矛盾

2016年5月24日(火)

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トヨタ自動車/ダイハツ工業の新型「パッソ/ブーン」。これはダイハツ・ブーンの最上級車種「ブーンシルク“Gパッケージ SA II”」

 トヨタ自動車/ダイハツ工業が4月に全面改良した新型「パッソ/ブーン」には2つの理由から注目していた。1つは、このクルマが従来の、トヨタとダイハツの共同開発から、ダイハツの単独開発になったことだ。ダイハツは今回の新型「パッソ/ブーン」を軽自動車の技術を生かして開発したと言っている。この連載の第19回で、ダイハツ工業の「ムーヴ」を取り上げ、その軽自動車離れしたボディ剛性と走りに感心した。この技術が今回のパッソ/ブーンに生きているのなら、ずいぶん期待できると思ったのだ。

 もう一つの理由は、100%個人的なことだ。3~4年前に、妻と子供の一人を連れて北海道に旅行したことがあるのだが、そのとき、レンタカーとして借りたのが先代のパッソだった。一番レンタカー料金が安いから、というのが借りた理由だったが、はっきりいって、走りやボディ剛性などは期待していなかった。そのファンシーな外観や内装からして、主要なターゲット顧客は女性だろうと思っていたからだ(女性読者の皆様、ごめんなさい)。

 ところがそのパッソが、意外によく走った。確かにエンジンの出力は大したことないが、ボディが軽いせいもあり、3人乗車でもかったるいことはなかったし、乗り心地も良好。期待していなかったボディ剛性も、欧州車並みとはいわないが、必要にして十分で、やわな感じは受けなかった。すべてが自然で、無理がないところに好感を持った。今回の新型パッソ/ブーンはそこから大幅に改良されているということだし、デザインも男性が乗っても気恥ずかしくないテイストに変更されたから、男性ドライバーの一人としても期待していた。

完全子会社化をにらむ

 冒頭でも少し触れたが、今度の新型パッソ/ブーンはダイハツが単独で開発した。従来の初代、2代目はトヨタが企画・マーケティングを担当し、ダイハツが開発・生産を担当するという共同開発で、トヨタにもちゃんと開発責任者がいたのだが、今回は企画・マーケティングの段階から一貫してダイハツが担当し、トヨタ自動車にはOEM(相手先ブランドによる生産)で供給する。

 トヨタ自動車はことし1月にダイハツを完全子会社化すると発表した。ダイハツ工業は7月27日付で上場を廃止し、8月からトヨタの完全子会社になる。開発体制も再編し、新興国向けの小型車の開発では、ダイハツがグループをリードする存在になる。今回の新型パッソ/ブーンでは従来型にあった1.3Lエンジンの搭載車をなくし、1.0Lエンジン搭載車に絞ったが、これはトヨタ「ヴィッツ」の1.3L車と排気量の重複をなくすのも狙いの1つと見られる。つまり、1.0L以下がダイハツ、1.3L以上がトヨタというように、担当分野を明確にしたということだ。今回のパッソ/ブーンの開発体制や、商品のカバー範囲を見ると、完全子会社化をにらんだ動きがすでに始まっていると感じる。

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「軽の技術で進化した新型「パッソ/ブーン」」の著者

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、2004年に自動車技術の専門情報誌の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、オートインサイトを設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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