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ホンダの10速ATに感無量の理由

10兆通りから最適解を選ぶ

2015年12月22日(火)

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開発中の10速自動変速機(10速AT)を搭載した「レジェンド」ベースの実験車両。10速ATは、前輪駆動車用として世界で最も変速段が多い

 このコラムの第40回では新型「NSX」の話題をお伝えした。本当は、ホンダの技術説明会「2015 Honda Meeting」で公開された内容をいろいろ紹介するつもりだったのが、NSXについての記述が長くなりすぎ、結果として他の話題がお伝えできなかった。そこで今回は、同説明会で公表された新技術のうち、筆者が特に興味を惹かれた10速自動変速機(10速AT)について紹介したい。というのも、10速ATをホンダが出すというのは、2つの意味で感慨深かったからだ。

 今回公開した10速ATは、排気量3.0Lクラス以上の前輪駆動車向けに開発中のものだ。ホンダの3.0Lのクラス以上の車種といえば、国内では「レジェンド」くらいしかないのだが、国内向けのレジェンドはすべてハイブリッド仕様で、変速機は7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション、DCTについてはこのコラムの第13回を参照いただきたい)という、MT(手動変速機)に近い構造を持つ、通常のATとは異なる方式の自動変速機である。

 ところが、米国市場向けレジェンド(あちらではAcura RLXということになるが)には、排気量3.5LのV型6気筒エンジンを積む仕様があり、現在は6速ATを組み合わせている。他にも、日本市場ではハイブリッド仕様しかない「アコード」や、国内向けとは異なる「オデッセイ」の米国仕様車など、3.5Lエンジンに6速ATを組み合わせる車種が数多く存在する。この6速ATを、新開発の10速ATは置き換えることになる。

“1段変速”の時代も

 新開発の10速ATで、筆者が注目したポイントは2つある。1つは、ついにホンダの自動変速機(AT)も10段変速まで来たかという一種の感慨である。前輪駆動車用ATでは現在、ドイツZFの9速ATが最も変速段が多いが、ホンダの10速ATが実用化されれば、世界で最も変速段が多いATになる。筆者が子供のころは、ATの変速段は3段程度が当たり前で、ホンダの「ホンダマチック」のように、固定段の自動変速機すらあった。表現としては妙だが“1段変速”の時代があったのだ。実際には、ホンダマチックにも3段変速のタイプが存在したのだが、初代「シビック」や、初代「アコード」に搭載されていたホンダマチックは変速しないタイプだったので、筆者にとっては「ホンダマチック=固定段の自動変速機」というイメージが強い。

初代「アコード」に搭載された「ホンダマチック」のシフトレバー。シフトポジションの上から4番目、「N」と「L」の間に「☆」レンジが見える

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「ホンダの10速ATに感無量の理由」の著者

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、2004年に自動車技術の専門情報誌の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、オートインサイトを設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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