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東芝の不適切会計はなぜ7年も続いたのか

ニエンハ・シェ教授に聞く

2015年9月24日(木)

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ニエンハ・シェ
Nien-hê Hsieh(謝念和)

ハーバードビジネススクール准教授。専門はジェネラルマネジメント。特にビジネス倫理の問題とグローバルリーダーの責務について研究。MBAプログラム及びエグゼクティブプログラム(リーダーシップ開発)で必修科目「リーダーシップと企業倫理」を教えている。同校の准教授に就任する前は、ペンシルベニア大学ウォートンスクールにて教鞭をとる。学生から人気を集め、優秀教育者賞を受賞した。日本人の母親と中国人の父親の間に生まれ、日本語も堪能。2014年には慶應義塾大学にて特別講演を行った。近著に"Corporations and Citizenship: Democracy, Citizenship, and Constitutionalism"(共著、University of Pennsylvania Press, 2014)。現在、ビジネスの使命についての新刊を執筆中。


 ハーバードビジネススクールの授業では不正会計事件を起こした企業の事例が数多く取り上げられている。エンロン、ワールドコム、オリンパスなどの事例が教材となっているが、日本に限らず、欧米でも不正会計事件が次々に起こっているのだという。

 東芝の不適切会計問題はなぜ起こったのか。なぜ人間は不正をやめることができないのか。ハーバードで必修科目「リーダーシップと企業倫理」を教えるニエンハ・シェ准教授に話を聞いた。

(2015年6月24日インタビュー、8月19日追加取材)

なぜ管理職や役員も倫理を学ぶのか

佐藤:今年4月に発覚した東芝の不適切会計問題で、日本企業そのものの倫理観が問われています。ハーバードでは、2000年代前半にアメリカで粉飾決算事件が相次いで起こったことを受けて、倫理の授業がMBAプログラムの必修授業となっています。「リーダーシップと企業倫理」の授業で何を学生に学んでほしいと思いますか。

シェ:学生に学んでほしいことは主に4つあります。

 まず1つめは、複雑な状況でどのように善悪を判断したらよいか、という点。倫理観は、通常、プライベートな場で身につけていくものです。ところがビジネスの世界では、個人の倫理観では答えが出ない状況に直面します。トレードオフを迫られるような状況に追い込まれることもありますし、自分の倫理的決断がその他の社員にどのような影響をもたらすかも見えていないこともあります。そんなときにどうすればいいか、基本的な判断基準を学んでほしいと思います。

 2つめは、ビジネスリーダーとしての責任です。医師には医師としての、弁護士には弁護士としての責任があるように、ビジネスリーダーにはビジネスリーダーとしての責務があります。

 3つめは、正しい信念に従って行動することです。善悪を見分ける判断基準を身につけたとしても、信念に従って行動することは、非常に難しいことなのです。学生の間に授業で予行演習しておくことはとても大切なことです。

 4つめは、リーダーシップとは何か、という点です。ピーター・ドラッカーは、「リーダーシップとは責任である」と定義しました。リーダーは周りの人に対して責任を持ち、正しい方向に導かなければなりません。その過程で必ず倫理の問題に直面します。そういうときにリーダーシップとは何かという原点に立ち返ってもらいたいと思います。

佐藤智恵(聞き手)
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。報道番組や音楽番組のディレクターとして7年間勤務した後、2000年退局。2001年米コロンビア大学経営大学院卒業(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。2004年よりコロンビア大学経営大学院の入学面接官。近年はテレビ番組のコメンテーターも務めている。主な著書に「世界最高MBAの授業」(東洋経済新報社)、「世界のエリートの「失敗力」」(PHPビジネス新書)、「ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか」(日経BP社) ウェブサイトはこちら

佐藤:ハーバードはエグゼクティブプログラムでも倫理の授業を提供していますね。なぜビジネス経験を積んだ管理職や役員が倫理を学び直さなくてはならないのでしょうか。

シェ:おっしゃる通り、エグゼクティブはMBAの学生とは違って、すでに倫理的な決断をしてきた経験も、リーダーとしての経験も豊富です。それでも彼らが学びたいと思う理由は3つあると思います。

 1つは、同じ職位の人々と、倫理的判断について議論ができる、ということ。管理職には管理職の、役員には役員の決断があります。他の会社の人が自分と同じような状況に置かれたときにどう判断して行動したか、というのは非常に参考になるのです。

 2つめは、日常的な仕事から解放されて、ゆっくり自分の行動や決断を振り返ることができる、ということ。そこで社内にいるときとは違った新鮮な視点で、企業倫理について考えることができます。

 3つめは、倫理的な決断をする際のフレームワークを学べること。授業では実践だけではなく理論も教えているため、倫理を体系的に学ぶことができるのです。

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「東芝の不適切会計はなぜ7年も続いたのか」の著者

佐藤 智恵

佐藤 智恵(さとう・ちえ)

作家/コラムニスト/コンサルタント

1992年東京大学教養学部卒。NHKにて番組ディレクターを務めた後、2000年1月米コロンビア大学経営大学院留学、翌年5月MBA取得。ボストンコンサルティング、外資系テレビ局などを経て2012年独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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