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日本人は対立回避しすぎ?右対左の論争は健全だ

デビッド・モス教授に聞く

2015年10月22日(木)

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「トップのための経営戦略講座」(野村マネジメント・スクール)で教鞭をとるデビッド・モス教授 ©野村マネジメント・スクール
デビッド・モス David Moss
ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理(金融史、政策史)。同校のBGIE(ビジネス・政府・国際経済)部門に所属。MBAプログラムでは選択科目「近代的金融システムの形成」、「アメリカ民主主義の歴史」、ハーバード大学の学部生プログラムでは「アメリカ民主主義の歴史」を教えている。アメリカ国内はもとより世界各国のエグゼクティブ講座でも教鞭をとる。日本では野村マネジメント・スクールの教授も務めている。ハーバードビジネススクールを代表する人気教授であり、学生が選ぶ「最高の教授賞」を過去8回受賞。近編著に"Preventing Regulatory Capture: Special Interest Influence and How to Limit It"(ダニエル・カーペンター編、デビッド・モス編、Cambridge University Press, 2013).

ハーバードビジネススクールの学生や卒業生に「どの教授の授業が最も印象に残ったか」と聞くと、必ず名前があがるのが、デビッド・モス教授だ。過去に8回も「最高の教授賞」を受賞。人気ナンバーワン教授、といっても過言ではない。

モス教授が今、力を入れているのが歴史の授業だ。中でもMBAの学生と学部生の双方に人気があるのが、「アメリカ民主主義の歴史」という選択科目だ。モス教授は、「民主主義が健全に機能すれば、右派と左派の両方の良い意見を取り入れることも可能だ」と言う。本当にそんなことが可能なのだろうか。野村マネジメント・スクールのエグゼクティブ講座で講義をするために来日したモス教授に伺った。

(2015年7月26日、インタビュー)

健全な民主主義とは何か

佐藤:モス教授は現在、MBAプログラムの学生と学部生向けに「アメリカ民主主義の歴史」を教えています。「健全な民主主義とはどのような民主主義か」を考えていく授業だとのことですが、そもそも「健全な民主主義」とは何でしょうか。

モス:健全な民主主義とはどのような民主主義か。それは大変難しい質問ですね。ある意味、健康な人とはどんな人か、という質問に似ています。人間の健康を定義することは難しいですね。たいていの場合、「健康とは、病気にかかっていないことである」と定義します。しかし、それでは議論が循環していますね。なぜなら病気とは、「健康を害している」状態のことだからです。

 また本当に健康かどうか見た目で判断することも困難です。健康そうに見えても重病にかかっている人もいれば、病弱に見えても実は健康で長生きする人もいます。

佐藤智恵(聞き手)
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。報道番組や音楽番組のディレクターとして7年間勤務した後、退局。2001年米コロンビア大学経営大学院卒業(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。2004年よりコロンビア大学経営大学院の入学面接官。近年はテレビ番組のコメンテーターも務めている。主な著書に「世界最高MBAの授業」(東洋経済新報社)、「世界のエリートの「失敗力」」(PHPビジネス新書)、「ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか」(日経BP社) http://www.satochie.com

佐藤:同じことが民主主義についてもいえるわけですね。

モス:そうです。健全な民主主義を定義することは非常に難しいのです。人々の意思を反映していればいい、というものでもありません。国家統治に対して良い決断をすることができるか、幅広い国民の役に立つことができるか、正当性を維持しながら国民に奉仕しているか、といったこともまた健全性を判断する上での指標となります。

 また先ほどの話と同じように、「表面的には健全に見えていたのに、実は病気にかかっていた」というケースもあります。しかも罹患してから何年も経ってから病気が発覚することもあります。たとえば1850年代のアメリカはまさにその典型でした。アメリカ国内ではずっと政治的な論争が続いていましたが、国民はまさかそれが南北戦争にまで発展するとは思ってもいませんでした。つまり隠れていた病気が一気に発覚したのです。結果的に南北戦争はアメリカ全体に大きなダメージをもたらしました。

 授業では、民主主義が正しい方向に進むのか、間違った方向に進むのか、その分水嶺となるような時代の事例をみていきます。そこで、どんなことが象徴的に起きれば、民主主義は不健全に陥るのか、あるいは、健全に機能するのか、を学んでいきます。科学的に民主主義の健全性を説明する方法はいまだ分かっていません。ですから、民主主義の歴史から学ぶことに価値があるのです。

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「日本人は対立回避しすぎ?右対左の論争は健全だ」の著者

佐藤 智恵

佐藤 智恵(さとう・ちえ)

作家/コラムニスト/コンサルタント

1992年東京大学教養学部卒。NHKにて番組ディレクターを務めた後、2000年1月米コロンビア大学経営大学院留学、翌年5月MBA取得。ボストンコンサルティング、外資系テレビ局などを経て2012年独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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