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ソマリランド大学院がやっと迎えた涙の卒業式

第13回:テロに負けず、なんとかたどり着いた

2015年7月2日(木)

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ソマリランドで初の大学院を米倉誠一郎教授と立ち上げた税所篤快さん。4月末、東京・六本木ヒルズとソマリランドをつなぎ、ソマリランド大学院の1期生15名の卒業式が行われた。昨年11月の開校式から約半年、未承認国家の若者達にどんな教育のチャンスがもたされたのだろうか(前の記事はこちらをご覧ください)。

 4月29日、日本時間では22時、ソマリランド時間では16時にソマリランド大学院第1期生の卒業式が海を超え、空間をつないで始まりました。米倉誠一郎学長の六本木ヒルズのオフィスからは、赤々と輝く東京タワーを中心に広がる夜景が見えます。

 スクリーンに映し出されたのは、ソマリランドの殺風景な教室内にいる15名。受講生が嬉しそうに手をふっています。日本側には米倉先生に僕、スタッフの佐藤峻、講師を務めてもらったリコーの元新規事業開発室長(現クリエイブル代表)の瀬川秀樹さん、そして米倉先生が招待した2人の投資家の方が集まりました。卒業式は受講生達の学びの成果である新規ビジネスプランの最終発表会も兼ねています。優れたビジネスモデルが提案できればすぐに日本の投資家が投資を検討します。これそこが、ソマリランド大学院の大きな特徴なのです。

 ソマリランド側から事務局長のケイシィがプレゼンテーションの開始を告げると、生徒たちが入念に準備した発表を開始しました。僕はソマリランド大学院と駆け抜けた1年間を思い出していました。

インターネットを介してソマリランドと六本木をつないだ

 高野秀行さんの『謎の独立国家ソマリランド』という本に出合ってからちょうど1年が経とうとしていました。初めはe-Educationの遠隔教育モデルでソマリランドの学校教育にイノベーションをもたらそうと、未承認国家に僕は意気軒昂と乗り込んだのです。事前の読み通り簡単に文部大臣や補佐官たちと仲良くなることができました。

 しかし、いざモデルを売り込もうというときに、ソマリランドの現状が見えてきました。若年失業率が6割以上というこの国において必要なのは本当に学校教育なのだろうか。のちに失踪、蒸発する当時のパートナー、アブディ校長とのディスカッションの中で「ソマリランドに必要なのは雇用を生み出す新しいビジネスモデルだ」と結論に至ったのでした。そのためにはソマリランド初の起業家養成に特化した大学院を日本ブランドで開設しようと思いついたのです。

 日本に戻り、協力者を募りました。でも、10以上の大学や大学院から「ソマリランドってどこ?」「リスクが高すぎる」と相手にされませんでした。唯一、応援してくれたのが恩師である一橋大学の米倉教授です。昨年8月のソマリランド渡航には米倉先生も加わってもらい、僕たちは現地の大学院立ち上げパートナーであるアドマス大学学長のオマルさんと出会い企画は加速しました。

 幸運にも大統領府、文部省から応援をとりつけ、生徒を募集しました。20代のやる気のあるソマリランド人を現地の大学や起業家コミュニティーから選抜していき、15名の受講生を迎えて昨年11月、ソマリランド大学院は開校したのでした(このあたりの詳細は『突破力と無力』をご覧ください)。

 11月8日、15名の生徒が集まり開校式を終えて、第1回の授業は学長自らが教鞭をとりました。米倉先生による「ソーシャルイノベーションの可能性」です。普段は日本の経営者やビジネスマンたちに対して1回数十万もする講演が、アフリカの未承認国家の若者たちに行われたのです。このことは僕たちが起こした最初のイノベーションだったのではないでしょうか。

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「ソマリランド大学院がやっと迎えた涙の卒業式」の著者

税所 篤快

税所 篤快(さいしょ・あつよし)

「e-Education」創業者

NGO「e-Education」創業者。1989年、東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、英ロンドン大学教育研究所(IOE)修士課程に在籍。同NGOは映像授業を活用しバングラデシュなど17カ国で教育支援を実施している

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長