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中小企業は地銀を使いこなせ

山陰合同銀行と大垣共立銀行の取り組み

2017年7月6日(木)

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「本業の市場が衰退してきた」「販路を広げたいが方法が分からない」「人が採れない」……。中小企業経営者の悩みは尽きない。だが、そこに地銀という強い援軍が生まれてきたことをご存じだろうか。人口減、地方経済の停滞の中で地銀が変わり始めているのだ。ここでは、地銀が中小企業の事業創造の“伴奏者”になってきた2つの事例を紹介する。従来型のビジネスマッチングなどではない。より深い取り組みだ。新市場を見極め、企業の経営改革を徹底支援する。
山陰の地場産業と大都市の企業をつないで、新事業をつくった松波氏。その波及効果は大きい(写真:太田未来子)

地銀マン、動く

事例1 山陰合同銀行

 「これはうちの地元で生かせる」。2015年夏、山陰合同銀行神戸支店の営業員だった松波知宏氏は、取引先の居酒屋チェーン、ワールド・ワン(神戸市)が開いた新店を見て、思わず拳を握った。

 その店は、高知県土佐清水市の食材に特化した「土佐清水ワールド」。土佐清水港の漁業者が獲った魚介類を中心に地元の農産物、加工食品に絞り、鮮度と個性に徹底的にこだわった居酒屋だ。

 松波氏が引きつけられたのは、ワールド・ワンが土佐清水港の漁協や漁業者らと連携し、安定して食材を購入する上に、店舗やネットで加工食品の販売まですると計画していたことだった。

 「この仕組みを使えば、山陰の中小企業に新事業を生み出せる」

 松波氏はすぐに、山陰合同銀が地盤にする島根県と鳥取県の支店に、良い生産者や食品加工会社を探してもらい、ワールド・ワンとつなごうとした。

 ワールド・ワン側も土佐清水の取り組みでは、自社で漁業者などの発掘から物流の仕組み構築までしたが、今度は山陰合同銀が手伝ってくれるのでメリットがある。

 隠岐・海士漁協のサザエ、白バイ貝から始めて、境港市のカニ、大山町の地鶏、安来市のドジョウ。次々に話を持ちかけ、輪を広げた。そして、昨年3月、神戸市三宮の中心街に山陰の10市町の魚介類・農産物を集めた「山陰・隠岐の島ワールド」を開店した。

金融庁が新たな地銀評価

 今、地方銀行が中堅・中小企業との関係強化に乗り出している。地銀にとって地元の中堅・中小企業は、長年にわたる主要顧客。単につながりを強めようというわけではない。業績を拡大させるための経営改革を支援したり、新市場の開拓、既存市場の深掘りなど営業にも手を貸す。

 ともすれば数字一辺倒の経営分析と評価を基に融資を増やし、「回収できればよし」としているとも言われた地銀の“変身”の裏には、2つの大きな変化がある。

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「中小企業は地銀を使いこなせ」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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