Winter Festa2017-2018

顧客は「攻略」する相手ではありません

『戦わない経営』の著者・浜口隆則氏に聞く

  • 福島 哉香

 創業者ほどの上昇志向を持たない二代目、三代目社長からは「価格競争の激しい市場で戦うのは疲れた」という声がよく聞かれる。一方で「人と競争するのは性に合わない」とこぼす若手社員も増えている。

 それならいっそ「戦わない経営」を目指してみてはどうだろう。

 「企業間競争は避けられないもの」と考えがちだが、必ずしもそうではない。経済学者のマイケル・ポーター氏は、競争を避けることは重要な競争戦略の一つという考え方をしている。中国古典『孫子』も「不戦の戦略」を唱えており、靴下メーカータビオの越智直正会長は孫子の教えを基に会社を発展させた。

 まずは、『戦わない経営』という本の著者である浜口隆則氏に、戦わない経営とはいったいどういうものなのかについて聞いてみる。

10年前、なぜ『戦わない経営』を書こうと思ったのですか。

浜口:起業家を支援する会社を立ち上げて、仕事柄、たくさんの会社を見るうちに、多くの経営者は目的を間違えているんじゃないか、という思いが募ってきたんです。私自身も経営者として、最終ゴールをどこに置けばいいのかと、ずっと自問していました。

浜口隆則(はまぐち・たかのり)
ビジネスバンクグループ社長。横浜国立大学、ニューヨーク州立大学卒業。1997年に「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションに創業。起業家向けオフィス賃貸事業などを生み出した。現在はクラウド型経営システムなど、さまざまなサービスを手掛ける。『戦わない経営』(かんき出版)など著書多数

 そして次第に、会社が人の活動で成り立っている以上、人のためになっていなかったら、会社がどんなに成長して利益が出ても、意味がないと考えるようになりました。人の幸福が経営の最終目的であり、利益はそれを実現する手段にすぎないと。

 では、幸福追求型の経営はどうすれば実践できるのか。その解が「戦わない」でした。

10年ほど前はホリエモン(堀江貴文氏)の逮捕などがあり、会社は誰のものかが問われた頃です。『戦わない経営』に対する経営者の反応は。

浜口:9割ほどの人は好意的でした。ただ、身近な人に聞いた反応なので、実際は反対する人がもっと多かったでしょう。

 日々戦っている経営者からすると「戦わないでやれるはずがないだろ」と拒絶したくなる気持ちはよく分かります。賛成派の人たちも「主張は分かるけれど、本当に実現できるのか」と懐疑的だったはずです。

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