Winter Festa2017-2018

ビール販売なし、営業活動一切なしの酒屋

「どこにでもある酒屋」から業態転換し成功

  • 福島 哉香

 小さな会社には「競争下で生き残る」のではなく、「競争のない世界で生きる」ことが求められる。不毛な価格競争を避け、「戦わない経営」を実践している企業がある。広島市の酒商山田だ。「逆転の発想で新しい市場を探し、共存共栄できる道を開く」と語る山田淳仁社長。値引きしない、営業しない、シェアを拡大しない……。すべてを「逆転の発想」で捉え、競争のない場所で存在価値を高めた。

酒商山田は店舗のコンセプトも逆張りだ。宇品本店のテーマは「酒屋らしくない店」。広い店内に数千本の酒がギャラリーのように並ぶ
(写真:橋本真宏、以下同)

 「吹けば飛ぶような酒屋」が、売上高9億円超の企業に変わった。広島県内に4店舗を構える酒商山田(広島市)だ。

 思い切った業態転換で家業を成長させたのは4代目の山田淳仁社長。「幼い頃から争いが苦手」という山田社長が目指したのは、価格競争の激しい商品を捨て、新たな需要をつくり出すことだった。

 山田社長が大手損害保険会社を辞め、家業の小さな酒屋に戻ったのは1989年。ビールとタバコが9割を占めていた当時の売上高は1億5000万円。店が港に近いこともあり、ビールの大口顧客は地元の船会社だった。

 家族以外に社員1人、パート1人、アルバイト2人と限られた人手のなか、船の出港時刻に合わせたビールの配達や売れ残ったビールの引き取りに追われた。ビールの値下げ要求も頻繁にある。父が購入した土地の借入金を抱え、家族経営の酒屋は経営難が続いた。

顧客を奪う営業をやめる

 山田社長は大口顧客に頼らず、売り先を増やそうと考えた。しかし落胆するような出来事が続く。

 知り合いの好意で受けたビールの注文には、同業者から「お客さんを取られた」というクレームの声が上がった。また、話題の純米吟醸酒を取り寄せ「珍しい酒あります」と書いた新聞の折り込み広告を配布したところ、「何をしでかすか分からない」と業界の会合で指摘された。

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いただいたコメントコメント1件

製造業では中小は大手と同じことをやっていてはだめということは
半ば常識になっていると思います。でも小売の世界はまだそれが常識に
なっていない気がします。大手と同じ定番商品を並べても勝てるわけが
ないので、さてどうしたらよいか?ここから考えることがスタート点だと
思うのですが......。(2017/12/04 10:12)

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