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彼の名は、西脇順三郎

ギリシア叙事詩的国語@三省堂

2015年12月24日(木)

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教科書で出会った3行詩を追って

 最後の最後に国語の教科書を取り上げるにあたり、ルールを曲げた。

 この連載では教科書をつくっている会社を訪ねてきたが、そこにはひとつのルールがあった。教科書は何種類ものあるものだから、おそらく全国で最も有名な進学校のひとつである都立日比谷高校の1年生が使っているものに絞って、教科書会社を巡るというルールである。しかし、ゴールが見えてきたところでそれを変更する。

今はただ、一社のみ

 高校時代に教わったことのほとんどを覚えていなくても、ひとつくらいは忘れられず、ふとしたときに記憶の底から浮かび上がり、つい口にしてしまうものが誰にもあるのではないか。ある人にとってはそれは「墾田永年私財法」であり「モホロビチッチ不連続面」であるだろう。ボクにとってのそれは一編の詩。

 (覆された宝石)のやうな朝
 何人か戸口にて誰かとささやく
 それは神の生誕の日。

 わずか3行のこの詩は『ギリシア的叙情詩』に収められた『天気』である。作者は西脇順三郎だ。

ギリシアにて。

 西脇順三郎と言えば、最近、こんなニュースがあった。1963年、ノーベル賞選考委員会は、日本の文学研究者に対して、日本の作家についての評価を求めていた。依頼を受けた研究者のひとりが、ドナルド・キーン氏。キーン氏は実際に受賞することになる川端康成に加え、谷崎潤一郎、三島由紀夫、そしてこの詩の作者である西脇順三郎について見解を求められていたそうだ。

 もちろん、高校時代のボクはそんな秘話を知るよしもない。しかしなぜか衝撃を受けて覚えてしまい、長年忘れられず、ギリシアを訪ねてみたいと願い、ついに今年思い切って足を運んだ。『天気』の舞台であろうエーゲ海の島を訪れたその日はたまたま、ボクの還暦の誕生日だったのだがそれはさておき、この詩は、日比谷高校縛りというルールの範囲内の教科書には採用されていない。

 ものの資料によるとその詩は、70年代前後にはほとんどの教科書に掲載されていたが、今もそれを残しているのはただ一社である。であれば、その一社に話を聞くしかない。

ちなみに「ものの資料」とは、その名も『読んでおきたい名著案内 教科書掲載作品13000』(日外アソシエーツ)。1949~2006年刊の教科書に載っている全作品が収録されている。ド~ンと900ページ超。

 「連載のコンセプトが…」というS巻Y瀬の声を聞き流し、ある教科書会社にご協力を賜ることにする。

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「彼の名は、西脇順三郎」の著者

成毛 眞

成毛 眞(なるけ・まこと)

成毛探偵社代表

1955年生まれ。書評サイトHONZ代表、インスパイア取締役ファウンダー、スルガ銀行社外取締役、早稲田大学ビジネススクール客員教授、元マイクロソフト社長。2014年、成毛探偵社代表に就任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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