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「かっぱえびせん」の聖域に踏み込んだ男

カルビータナワットは、タイでここまでやっている

2017年2月27日(月)

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 1980年。カルビーはタイに進出し、現地企業との合弁会社「カルビータナワット」を設立した。武器は看板商品の「かっぱえびせん」。

 トムヤムクンに見るように、タイの人々はクン(タイ語でエビ)を使った料理が大好きだ。タイの市場に、「かっぱえびせん」はもってこいの商材のはずだった。

 だが、15年ほどは鳴かず飛ばず。どうにも売り上げが上がらない。

 なぜか? 日本人でも「かっぱえびせん」と見紛うほどに丁寧に真似されたタイ製のスナック菓子「ハナミ」が、元祖よりも早く市場を制圧していたからだ。

カルビーの「かっぱえびせん」とタイローカルメーカーの「ハナミ」(右)。外見はそっくりだが、食べると味の違いは歴然だ。

 元祖が勝てないのはふがいない。どうやったら劣勢を覆せるのか。

 97年8月に赴任した大山勝也氏は、打開策として、カルビーファンや「ハナミ」ファン、お母さんや子どもたちなど200人ほどの消費者を集め、客の本音を探るグループ調査を実施した。そこで明らかになったのは日タイ間の決定的な嗜好の差だ。

 「それまでの『かっぱえびせん』の味では薄くてタイ人には物足りないということがわかった。そこで、味をタイ人が好む濃さまで調整するようにR&Dグループに依頼して、なんとか『これならいけるぞ』という味にたどり着きました」

 食べてみるとわかるが、タイで販売されている「かっぱえびせん」は日本製よりも味にメリハリが効いている。これが当たった。98年に市場に投入すると売り上げは急速に伸びて、「ハナミ」を猛追していく。

 しかし、なぜこんな基本的な手がこれまで打たれていなかったのか。
 実は、「かっぱえびせん」の味の仕様変更はカルビーにとって禁じ手だった。

聖域に知らずに踏み込んでしまった

 「98年に東京の本社で開催された海外拠点の報告会で、『味をタイの消費者の好みに合わせたことで売り上げが伸びた』と報告したら、いきなり役員会の雰囲気がピリピリしたんですよ。あれ、何かマズいことでも言ったのかなと怪訝に思っていたら、報告会が終わった後、当時の常務が困った顔で部屋に入ってこられました」

 常務は厳しい顔で大山氏にこう告げたそうだ。

 「大山君、君はとんでもないことをやったぞ。『かっぱえびせん』の味を変えるのであれば本社の了解をもらわんといかんぞ」

 カルビーにおいて、「かっぱえびせん」は侵すことが許されない聖域の味。カルビーの社員なら誰もが胸に刻んでいるこの不文律を大山氏は知らなかった。中途入社組だったからだ。

 「『かっぱえびせん』の商品としての重要さは十分に知っていました。でも、聖域という概念を持っていなかったんですね。タイのお客様のために作った工場なので、タイ人の嗜好に合わせるのは当たり前だろうと考えて、事前の本社了解を取ろうなどと考えもしなかったんです」

社長の松尾篤氏(左)と副会長の大山勝也氏。

 このエピソードを聞いて痛感するのは、異分子の存在の重要性だ。

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「「かっぱえびせん」の聖域に踏み込んだ男」の著者

三田村 蕗子

三田村 蕗子(みたむら ふきこ)

フリーライター

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。出版社勤務後、フリーライターに。ビジネス誌、経済誌、流通専門誌などで活躍中。2014年末から活動拠点をアジアのハブであるバンコクに移した。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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