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雑誌図書館「大宅文庫」が財政難で危ない

クラウドファンディング奮闘中。「知の蔵」の意義を改めて

2017年6月29日(木)

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大宅壮一文庫の雑誌収蔵庫の一部。「我が国唯一の雑誌図書館として社会に寄与した実績」で第30回菊池寛賞を受賞。(写真・山根一眞)

若い世代が知らない「トトカルチョ」の変遷

 toto 楽しく予想して、最高5億円。

 これは、Jリーグのサッカー試合の結果を予想する「適法」の「くじ」のキャッチフレーズで、「toto」は「トトカルチョ」の短縮形だ。この賭博の胴元は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(お騒がせ続きの文部科学省の所管)。

 トトカルチョ〔名〕({イタリア}totocalcio )
 プロサッカー試合の勝敗を予想して行なう賭博。1922年イギリスに始まり、イタリア、スウェーデンなどで公認されている。転じて、一般に、物事の勝敗などを予想して行なう賭け事にもいう。(『日本国語大辞典』小学館)

 「トトカルチョ」は、いくつかの国語辞典や現代用語の事典でも、ヨーロッパ由来の公認の賭博であるという説明しかない。だが、オールド世代は、「トトカルチョ」がヤクザなどの資金稼ぎの闇商売=賭博を意味していたことを覚えている。違法行為を指す言葉が、適法行為を意味する言葉になったのである。

 かつて「違法行為」とされたのは、もったいぶった言い方をすれば、それが健全な市民生活を脅かす危険があり、かつ暴力団などの資金源を断つためだった。

 このように、時代を物語る言葉は、時代によって変質、あるいは意図的に改変されることがあり、ある社会現象をきちんと見据えてとられるためには、「今」と「過去のケース」を比較検討する必要がある。

 だが、「違法」トトカルチョの時代について調べようとしても、ネット検索では古い情報はまず見つからない。かつ、こういう下世話な事象は新聞記事検索でもなかなか出てこない。一方、過去に発行された雑誌記事にはそれがある可能性が大きい。といって膨大な量の過去の雑誌の中から目指す記事を探し出すのはきわめて難しい。しかし、望む雑誌記事が検索できるスゴイ方法があるのだ。

地上2階と地階(2層)のいたるところに収納されている78万冊の蔵書。書籍3万冊は埼玉県の越生分館に所蔵。閲覧予約は可能だ。(写真・山根一眞)

甲子園選抜高校野球 やはり当る「トトカルチョ」
(週刊新潮・1981年04月09日)

名門校のトトカルチョで騒いだのは誰だ!?
湘南高校・野球トトカルチョ
(週刊プレイボーイ・1988年11月22日)

朝日新聞販売店グループが「高校野球トトカルチョ」を開帳 参加人数80名超夏の甲子園"主催社"が犯した賭博行為を示す『投票用紙』『オッズ表』を入手
(FLASH・2002年09月10日)

 この3件の「違法」トトカルチョとおぼしき「犯罪」を報じた雑誌記事を自宅にいながらパソコンで探し出せたのは、大宅壮一(おおやそういち)文庫のホームページにある雑誌記事索引検索(Web OYA-Bunko)のおかげだった。

『文藝春秋』の創刊号(1923年・大正12年)以降の棚。幕末か以降の雑誌の創刊号だけでも約7000冊あり、明治、大正時代の『創刊号コレクション』を販売したがすべて売り切れたが、閲覧は可能だ。(写真・山根一眞)
大宅壮一文庫の特徴は人物検索にあり芸能誌の記事請求はとても多い。人物記事の人気ランキング1位は松田聖子、2位は僅差で小沢一郎(政治家)、3位は長島茂雄だった(2015年2月調査)。(写真・山根一眞)

 収蔵している明治時代から現在まで、約1万種類の雑誌、およそ78万冊から作成したこのデータベースの記事索引はじつに520万件にのぼる。しかも、検索しヒットした記事全文を読みたければ、図書館と同じようにそのコピーを請求、会員になると自宅や職場までファックスで送ってもらうこともできるのだ。もちろん、Googleのようにタダではなく、有償だが。

雑誌記事を検索し全文を読みたい場合は複写サービスを依頼。ファックス送信にも対応しているが、その作業も楽ではない。全雑誌をスキャンしPDFデータとする案もあるがコストは莫大となり、また著作権の問題もあるため実現の可能性は遠い。(写真・山根一眞)

コメント2件コメント/レビュー

図書館、あるいは博物館的な目的のための、著作権法の改正が必要ですね。

古い書籍を電子化して劣化を防ぎ、データベース化して保存することは重要ですが、現状では著作権法上許容されていないと思う。
記事中にある、毎回スキャンしてFAXしているのは、この制約のためでしょう。

雑誌といえど貴重な文化遺産ですから、国の文化史として保存する取り組みが必要。
補助金出せないとしても、スキャンして保存することを法律で許してほしい。

電子化といっても、文字に起こす必要は必ずしも無いですし。
画像で保管しておけば、将来的にはAIが進歩すれば、文字化、あるいは自動的なIndexやタグの作成も可能でしょう。でも、電子化せずに散逸したらもうおしまいです。

同様のことはゲーム機等のIT機器にもあって、こちらは稼働するゲーム機が壊れて無くなると動作不可能になる点でより深刻です。
数十年後、テレビゲームの黎明期を研究できるよう、ハードウェアの仮想化等で実行環境を維持する方法も検討すべきでしょう。

雑誌、ゲーム共に「サブカルチャー」扱いされて散逸する傾向にありますが、かつてはサブカルチャーでも後年大いに評価された浮世絵のような例もあります。
デジタル時代ですから、最低1部、保存されていれば将来に残せるのわけで、将来への文化的責任として、文科省や文化庁には頑張って欲しいものです。

※でも、過去の嫌なことは抹消したい人たちが行政・立法に居ると難しいでしょうかね…。記事中にも某党首の抹消したい過去が出てましたし、文科省は書類残したくない人たちみたいだし。政府の人も、過去を美化したいから記録は抹消したがってるかも…。(2017/06/29 16:21)

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「雑誌図書館「大宅文庫」が財政難で危ない」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

図書館、あるいは博物館的な目的のための、著作権法の改正が必要ですね。

古い書籍を電子化して劣化を防ぎ、データベース化して保存することは重要ですが、現状では著作権法上許容されていないと思う。
記事中にある、毎回スキャンしてFAXしているのは、この制約のためでしょう。

雑誌といえど貴重な文化遺産ですから、国の文化史として保存する取り組みが必要。
補助金出せないとしても、スキャンして保存することを法律で許してほしい。

電子化といっても、文字に起こす必要は必ずしも無いですし。
画像で保管しておけば、将来的にはAIが進歩すれば、文字化、あるいは自動的なIndexやタグの作成も可能でしょう。でも、電子化せずに散逸したらもうおしまいです。

同様のことはゲーム機等のIT機器にもあって、こちらは稼働するゲーム機が壊れて無くなると動作不可能になる点でより深刻です。
数十年後、テレビゲームの黎明期を研究できるよう、ハードウェアの仮想化等で実行環境を維持する方法も検討すべきでしょう。

雑誌、ゲーム共に「サブカルチャー」扱いされて散逸する傾向にありますが、かつてはサブカルチャーでも後年大いに評価された浮世絵のような例もあります。
デジタル時代ですから、最低1部、保存されていれば将来に残せるのわけで、将来への文化的責任として、文科省や文化庁には頑張って欲しいものです。

※でも、過去の嫌なことは抹消したい人たちが行政・立法に居ると難しいでしょうかね…。記事中にも某党首の抹消したい過去が出てましたし、文科省は書類残したくない人たちみたいだし。政府の人も、過去を美化したいから記録は抹消したがってるかも…。(2017/06/29 16:21)

差しさわりや語弊があるかもしれないが、毎日毎日洪水のように刷られて店頭に売り出される雑誌に分類される図書の運命や如何。一方記述にある悩みのタネも亦深刻。単行本に関しては電子書籍など利便性は間違いないものの人間の業か、自分の物意識や図書館における閲覧に関わり、嗜好面の紙の香り等捨てがたいと宣う。その先に愛着や断捨離談義もあり、方策を語らうも名案は迷案に終わり、更にその先は行政のゴミ問題に及んでもの哀しい限りである。件のテーマ雑誌に戻る― だから言ったじゃないの、漫画博物館がクローズアップされた折のいい意見として、こうしたことを見越して国策の一環として取り組むべしと。漫画をバカにした面々の所為?当時、漫画が主役だったから仕様がない、とは言え漫画家がメインにされての議論だったから、日本人によくある、木を見て森を見ずの矮小化された議論になったのだ。漫画と並んで雑誌があった筈だし、活字分野を超えてクラウド時代に差し掛かって尚且つ放送・通信もあった。今や単なる結果論にしないで無責任投稿の動画や國として管理・保管の必須文書は之までの定めで取り敢えず等々を万機公論に決する事を遵守、この種××文庫、○○書庫を財政難くらいのことで無くしてはならないと心底から思うのだが如何。(2017/06/29 11:29)

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