• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

私が死んだら冷凍保存してくれませんか?

アルコーの遺体冷凍保存ビジネス(前編)

2015年6月26日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

液体窒素-196 ℃で人の遺体を冷凍保存して納めたタンク

 あなたは死んだら生き返りたいですか?

 こう聞かれて即答できる人はそう多くはないはずだ。最初からそんなことができると思ってもみないので考えたことがない。ところが、今の米国では生き返りはひとつの選択になろうとしている。

 米アリゾナ州スコッツデール に、アルコー・ライフ・エクステンション・ファンデーションという非営利団体がある。この団体は希望者が亡くなると、その人間の遺体を液体窒素を用いて-196 ℃で長期冷凍保存するという技術を一般に提供している。数百年の保存は楽勝だ。

 それでは、いったいどんな理由で死んだ肉体を保存するのか。答えは明快だ。たとえば事故による肉体の致命的な損傷、病、あるいは殺人など、望まれざるあらゆる理由で人々は命を落とす。だが未来の発展した技術力なら、今日では死亡と片付けられてしまう肉体を蘇生できるかもしれない。だからそんな時代に備え肉体を保存しておこう、という試みである。

 費用は全身の保管が20万ドル(日本円でおよそ2460万円、1ドル123円で計算、以下同)、頭部だけの保存は8万ドル(およそ984万円)、すでに138人の遺体がここに保管されている。

頭部のみの冷凍保存で8万ドル

 冷凍技術を駆使して様々な試みを開拓する研究分野をクライオジェニクスと呼ぶ。中でも、人体の蘇生が可能になる時代を想定し、亡くなった人間の肉体を長期冷凍保存しておくという試みは限定して「クライオニクス」と呼ばれる。

 クライオニクスを提供する機関は、中東やオーストラリアなど世界中にいくつか存在する。米国には3箇所の施設があり、アルコー・ライフ・エクステンション・ファンデーションはそのひとつだ(以下アルコーに統一)。

 アルコーでは2種類の保存方法を提供している。全身の保存と頭部のみの保存(ニューロプリザベーション)だ。

 前述の通り費用は全身が20万ドルで、頭部のみが8万ドル。この料金で遺体の搬送から、冷凍保存、長期保管、そして来るべき未来の解凍、蘇生措置、その患者の抱えている症状の治療まで全てを含むというから、医療費が高騰するこの国では決して高いと言えない。

アルコー・ライフ・エクステンション・ファンデーション。外観は会社のオフィスのようだが、内部で遺体も保管している

 なぜ頭部のみを保存するというチョイスがあるのか。それは、人間の意識、思考能力、記憶というものが脳に納められていると考えられるため、頭さえ残しておけば肉体は代用物を用意できると考える人もいるからだ。そもそも老い、病、損傷など肉体的な理由で亡くなるのだから、わざわざ肉体まで蘇生させる必要はないと考えるのは合理的かもしれない。

コメント0

「骨とチップ ~膨張する大国、アメリカの一断面~」のバックナンバー

一覧

「私が死んだら冷凍保存してくれませんか?」の著者

長野 光

長野 光(ながの・ひかる)

日経ビジネスニューヨーク支局記者

2008年米ラトガース大学卒業、専攻は美術。ニューヨークで芸術家のアシスタント、日系テレビ番組の制作会社などを経て、2014年日経BPニューヨーク支局に現地採用スタッフとして入社。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本全体として若い世代にもっと所得の分配をしていくべきだと思う。

川野 幸夫 ヤオコー 会長