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栃木最強!サトーカメラの不思議な経営

利益の源泉は「無駄」と「非効率」

2016年3月3日(木)

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家電量販激戦区の栃木県にあって、圧倒的強さを誇るカメラ店チェーンがある。県内カメラ販売シェアは17年連続首位。市場全体が縮小する中で粗利率は44%を誇る。一見、無駄と非効率な経営戦略が利益を生む。孤高のカメラ店の不思議な経営を丸裸にする。

サトーカメラとは
創業1964年
本店栃木県宇都宮市陽東3-27-15
社長佐藤千秋
概要カメラ関連商品の販売、カラー写真の生産販売など
売上高20億円弱
店舗数栃木県内に18店舗、中国に1店舗

 11月中旬の週末。大通り沿いにあるサトーカメラの宇都宮本店を訪ねると、50台以上収容スペースがある駐車場は、ほぼ満車状態だった。地元、「宇都宮」ナンバーの車がずらりと並ぶ。

 普通の繁盛店。それが店に入っての第一印象だ。手書きのPOP(店頭販促)が至る所に掲げられ、柱やテーブルなどもマスキングテープやシールでにぎやかに装飾。店内には、子連れ客のために遊び場も設置され、親の買い物を待つ子供たちの歓声が響く。が、よく店内を見回すと、不思議な光景が目に飛び込んでくる。ずらりとソファが並び、多くの顧客が店員と横に並んで座り、延々話し込んでいるのだ。

 客層は様々。老夫婦がこれから買うデジタルカメラの基本操作をひたすら質問している席あり、カメラ初心者が覚えたての専門用語を交えながら写真談義に花を咲かせている席あり。共通するのは、いずれの席も、接客時間が長いことだ。

 5分、10分、30分…。老夫婦は被写体の話からそれたのか、いつのまにか孫の話になり、何かの備品を買いに来たであろうカメラマニアの卵は持ってきた作品自慢を始めている。それでも店員は楽しそうに顧客の話に耳を傾け、的確なアドバイスを送り続ける。

 「1人のお客様に1時間接客は当たり前。最長は5時間もありますよ」。こう笑顔で話すのはサトーカメラ宇都宮本店の店長であり、同社のトップ販売員でもある竹原賢治氏だ。

栃木限定の最強カメラ店

 サトーカメラは、現在の社長である佐藤千秋氏の両親が1964年に創業したカメラ専業の販売店。売上高は20億円弱、従業員は約150人と、同じ宇都宮市に本社を置く家電量販店のコジマに比べると企業規模は100分の1にも満たない。

 ただ、この小さな会社は、こと栃木県内とカメラにセグメントを限定すると、鬼のごとき強さを発揮する。

 栃木県内でのカメラ販売シェア17年連続首位。13年連続で粗利率が増えており、現在の粗利率は44%に及ぶ。店舗は国内では栃木以外に1店もないが、栃木の中には18店舗もある。今では「栃木限定、カメラ限定のとんでもない店がある」と業界内ではすっかり有名で、キヤノンやソニー、オリンパスなどの大手カメラメーカーの販売担当者も頻繁に訪れるという。

市場全体は2008年をピークに減少傾向が続く
●国内のデジタルカメラ出荷台数と出荷金額推移
出所:カメラ映像機器工業会

サトーカメラのここがすごい!


  • 13年連続で粗利率増加

  • 17年連続栃木県のカメラ販売NO.1

  • 粗利率44%

 スマートフォンの普及でデジカメ市場が縮小する中、安定成長を続けるサトーカメラ。その経営の神髄はズバリ、「無駄と非効率の肯定」にある。その象徴が冒頭で紹介した超長時間接客だ。

コメント1件コメント/レビュー

量販店が無かった昔は、専門店の店頭で店主と客が、商品やその分野について親しくやり取りを交わすことは普通だった。店主店員は客から見ればその道のプロとして権威ある存在だったし、客の興味の分野に関する指導者的存在だった。街のカメラ屋、電気店、模型屋、時計屋、眼鏡屋・・・いずれの店も、その分野の専門家として地域住民から一目置かれていた。そんな客とのコミュニケーションが失われ収益第一の大量販売形式の方が一般的になってしまったことの方が、歪んだ流通形態だったのかもしれないと感じさせる記事でした。(2016/03/03 08:58)

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「栃木最強!サトーカメラの不思議な経営」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

量販店が無かった昔は、専門店の店頭で店主と客が、商品やその分野について親しくやり取りを交わすことは普通だった。店主店員は客から見ればその道のプロとして権威ある存在だったし、客の興味の分野に関する指導者的存在だった。街のカメラ屋、電気店、模型屋、時計屋、眼鏡屋・・・いずれの店も、その分野の専門家として地域住民から一目置かれていた。そんな客とのコミュニケーションが失われ収益第一の大量販売形式の方が一般的になってしまったことの方が、歪んだ流通形態だったのかもしれないと感じさせる記事でした。(2016/03/03 08:58)

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川野 幸夫 ヤオコー会長