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「やばい国」汚名返上、フィリピンの実力

アジアの病人から新“世界の工場”候補へ

2016年3月18日(金)

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「アジアの病人」と揶揄され、製造業が投資を控えてきたフィリピンに注目が集まっている。アジア諸国で人件費高騰が続く中、人材コストの長期安定が見込めるのが魅力だ。汚職の蔓延や不安定な治安など「やばい国」のイメージは、想像以上に改善されつつある。

レトロな風景も残るマニラ。建設ラッシュで街の再開発が進んでいる

 フィリピンの首都、マニラから車で南に1時間半行くと、バタンガス州リパ市の「リマテクノロジーセンター」という工業団地が見えてくる。

 「これまでずっと空き地だった近隣の工業団地が次々と埋まり始めた。数年前までフィリピン工場の拡張なんて考えもしなかったが、土地を確保しておいてよかった」

 新興国向けのプリンターやプロジェクターの製造拠点としてフィリピンに根を下ろして約20年がたつセイコーエプソン現地製造子会社の羽片忠明社長は、変わりゆく窓外の景色を見つめながらこう話す。

 同社は現在、約123億円を投じて既存工場の面積を倍増する新工場の建設を進めている。敷地面積はおよそ23万平方メートルとなり、約1万2500人いる従業員を今後、2万人にまで増やしていく予定だ。

 ここへきて、フィリピンへ資源を集中投下し始めているのはエプソンだけではない。ライバル、キヤノンも同国での事業拡大をもくろむ。

 2015年12月5日、キヤノンの御手洗冨士夫・会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)はフィリピンのバタンガス州にある現地製造子会社のプリンター工場を訪問していた。御手洗氏は「(バタンガス州の工場は)キヤノンの海外生産ネットワークの中で重要な役割を担う」と語り、同工場の生産能力拡大への追加投資を示唆した。

 同工場が稼働したのは2013年で、中国やベトナムの生産拠点と比べれば歴史は浅い。今後は、現在4000人の従業員を4700人にまで増員し、2018年までに累計生産台数を約1000万台に伸ばすことを目指すという(2015年10月までの累計生産台数が約300万台)。

国内回帰もフィリピンは別

マニラ首都圏のマカティ地区では不動産投資が沸騰中

 2015年初頭、中長期的な円安展望を背景に、同社は製造拠点の「国内回帰」を明言した。現在、全体の約4割程度の国内生産比率を6割まで引き上げようとしている。そんな状況でも、「フィリピンは別」というわけだ。

 自動車業界も、まだ規模は小さいものの同国での生産拠点拡大に向け動いている。三菱自動車は2015年1月、生産能力が旧工場の1.7倍に当たる年間5万台の新工場を稼働。トヨタ自動車は傘下のフィリピントヨタの生産能力を年産4万台から今後2割程度増やすと表明した。

 アジア経済をけん引してきた中国や東南アジアの国々が息切れする中、フィリピンが比較的安定した成長を続けてきたのは事実だ。

アジア最大級のモール「モールオブアジア」は地元の客でにぎわう

 ここ数年、経済成長率は6%台を維持。マニラには次々と新しいビルが建ち、街中には巨大なショッピングモールが誕生して世界中のブランドが店を出す。日本からも「ユニクロ」や「MUJI」、コンビニエンスストアの「ファミリーマート」や「ミニストップ」といった小売りが出店を強化している。

 コールセンターなどの間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点としてフィリピンに進出する海外企業も増えた。

 だが、こと製造業にとってフィリピンは、長年、「進出してはいけない国」との烙印を押されてきた。工場建設など事業を始める際のイニシャルコストが高い製造業は、いったん進出すれば小売業やIT(情報技術)産業などよりずっと投資回収に時間がかかる。にもかかわらず、長期にわたってビジネスを展開するにはリスクが多すぎる、というのが典型的なフィリピン評だった。

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「「やばい国」汚名返上、フィリピンの実力」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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