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目には見えないほど小さなナノカプセルでがんを直撃

薬送達システム[ナノキャリア、東京大学・片岡一則教授]

2015年8月26日(水)

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ナノサイズのカプセルで患部にだけ薬剤を送る仕組みの開発が進む。がん治療への活用のほか、脳疾患治療などにも広がる可能性を持つ。最終目標は予防から早期発見、治療まで実行する「体内病院」だ。

 1966年に公開されたSF映画の傑作「ミクロの決死圏」。要人を助けるため、ミクロサイズに縮小した医療チームが体内に入って治療するという突飛なストーリーが当時、大きな反響を呼んだ。

 そんな空想の産物が、半世紀を経て現実になろうとしている。映画では、治療に当たるのは潜航艇に乗って患部にまで到達した医療チームだった。現実では、「ナノカプセル(ミセル化ナノ粒子)」という新開発の“乗り物”に薬剤だけが載って患部に届く。

 ナノカプセルとはその名の通り、直径数十ナノメートル(ナノは10億分の1)ほどの小さなカプセルだ。これを使い、狙った患部だけに薬剤を届ける仕組みを「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」と呼ぶ。東京大学の片岡一則教授、東京女子医科大学の岡野光夫教授らがナノカプセルを発明し、現在、医薬ベンチャーのナノキャリアと組んで実用化を進めている。

医学の世界に工学を持ち込む

 「肉眼では絶対に見えないですよ」

 ナノキャリアの緒方嘉貴部長がこう言って差し出した小さな容器。一見すると無色透明の液体が入っているだけだが、実はこの中に、抗がん剤を内包したナノカプセルが無数に入っている。

 一般に薬のカプセルをイメージする場合、ゼラチンやセルロースで作られたものを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、ナノカプセルの原料は、プラスチックや樹脂などとして使われているポリマーの一種で、工業製品に近い。

 その作り方はこうだ。まず、親水性のポリマー(ポリエチレングリコール)と疎水性のポリマー(ポリアミノ酸)を接合し、一本のひも状にする。これも一本一本はナノサイズなので、集合体を肉眼で見ても微細な結晶にしか見えない。このひもの疎水性側に、抗がん剤などの薬剤を接合させておく。

 このひもを水に入れると、水を嫌う疎水性の部分が内側に入り、その周囲を水となじむ親水性のポリマーが覆って小さな球を形成する。この時、疎水性の部分に薬剤が付いているため、薬剤が自動的に球の中に閉じ込められる。

 これがナノカプセルだ。大きさは20~100ナノメートルの間で、用途に応じて調整できるという。外側が親水性の層なので血中でナノカプセル同士がくっつきにくく、血栓になりにくい。

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「目には見えないほど小さなナノカプセルでがんを直撃」の著者

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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