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日立、パナ、成長志向で「IFRS」導入続々

導入企業の時価総額は東証上場企業の48%に

2016年11月15日(火)

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IFRSを適用する企業が昨年から急増している。アニマルスピリッツを取り戻したかのような強烈な成長志向がそこにある。のれんの非償却、世界一体経営など利点はあるが、リスクも大きい。

昨年から急速に増えてきた
●IFRS(国際会計基準)適用企業の推移
注:IFRS適用決定企業は、適用を正式決定している企業。
IFRS適用予定企業は、決定はしていないが、 適用予定であることを表明している企業
出所:東京証券取引所の資料を基に本誌作成

 「国内市場はこの先、人口減で縮小するのは間違いない。一方で自動車メーカーをはじめとした顧客は、ますますグローバル化していく。このまま国内にとどまっていたら、うちは潰れる。生き残るには海外企業のM&A(合併・買収)を環境変化に応じて素早く仕掛けられるようにしなければならないが、そのためのカギを握るのがIFRS(国際会計基準)だ」

 塗料大手、日本ペイントホールディングス(HD)のCFO(最高財務責任者)、南学・取締役は、2019年3月期からIFRSを適用する狙いをそう語る。

 日本ペイントHDはここ数年、ガバナンス改革と海外市場開拓を急速に進めている。2014年10月に持ち株会社制度を導入。持ち株会社の下に自動車、工業用、建築など汎用事業といった事業子会社をぶら下げるようにした。さらに同12月には、シンガポールの塗料大手、ウットラムと合弁で、中国や東南アジアに展開していた塗料会社8社を子会社化した。2015年3月期の売上高は5357億円。前の期に比べて、一気に2倍に増やした。

 売上高で見ると塗料業界で世界10位から4位に躍進したが、さらに先を見据える。2018年3月期には自動車用、工業用、建築用の3分野が、事業を展開する日米欧中の各地域でトップ3に入る目標を打ち上げた。その目的達成に欠かせないのがIFRS適用だという。

 「欧米の強豪と戦うには、アジアの現地企業と連携して強くならなければならない。そのためには、M&Aなどでキャッシュを生み出す力をつけることが必要で、IFRSは、そういう動きを評価するのに適している。一方、M&Aをしても価値を生み出せなければ、すぐに減損しなければならなくなるなど厳しさが、我々の考えにぴったりくる」と南取締役は言い切る。

東証上場の半分、IFRS適用に

 今、IFRSを適用する企業が急速に増えている。金融庁が日本基準から自主的にIFRSに移行することを企業に認めたのは2010年3月期。以来、任意適用企業は徐々に増加し、2014年末時点では適用したか、適用を正式に決めた企業は計52社に達した。

 これが昨年から急角度で増えている。既に適用している企業と、これから適用すると正式に決めた企業の合計は今年6月末までの1年半で115社に届き、それまでの4年間に比べて2倍以上に増えた。

 大企業でも適用企業が増えている。日立製作所は2015年3月期から、パナソニック、アサヒグループホールディングスが今期から適用を始めた。東京証券取引所のまとめによると、前述の115社に「時期は未定だが、近い将来の適用を決めている企業」と「適用を検討中の企業」を含めた総合計は374社。時価総額では既に東証上場企業(3507社)の48%を占めるまでになっている。

コメント3件コメント/レビュー

 よくわかっていなんだね。両者は根本的にそれぞれの目標とすべきところが違う。これまでの会計は区切りごとの利益の確定だったが、IFRSは期間ごとに利益を確定して経済活動をリセットするのではなく、つねに継続的な活動、つまり利益をすばやく投資に向けることを目的としている。
 違う言い方をすれば、利益を固定化することで重い税金がかかる前に、素早い投資行動で税務負担を減らすということでもある。実際、のれん代などは、とぎれなくブランドとして収益に関わっているわけだから、むしろ既存の会計のように、利益があがってほっと一息とはまるで違う。
 これからはこういったスピードに耐えられる者こそが優良企業と呼ばれることになる。(2016/11/17 08:08)

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「日立、パナ、成長志向で「IFRS」導入続々」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 よくわかっていなんだね。両者は根本的にそれぞれの目標とすべきところが違う。これまでの会計は区切りごとの利益の確定だったが、IFRSは期間ごとに利益を確定して経済活動をリセットするのではなく、つねに継続的な活動、つまり利益をすばやく投資に向けることを目的としている。
 違う言い方をすれば、利益を固定化することで重い税金がかかる前に、素早い投資行動で税務負担を減らすということでもある。実際、のれん代などは、とぎれなくブランドとして収益に関わっているわけだから、むしろ既存の会計のように、利益があがってほっと一息とはまるで違う。
 これからはこういったスピードに耐えられる者こそが優良企業と呼ばれることになる。(2016/11/17 08:08)

『日本基準は企業の恣意性が働きやすい』と言われているが、のれん代の任意償却や開発費の任意資産計上などIFRSの方がズーッと恣意性が高いと思う。IFRSは公認の「クリエーティヴ・アカウント」、“なぜそうしたか”の説明を書かなければいけないが一般投資家は理解できないでしょう。(2016/11/15 10:31)

IFRSという「インチキ会計基準」を日本企業がなぜ有難がるのか。その背景にあるのは「のれんの非償却」、その一点だ。IFRSが「成長志向」なのではなく、IFRSが「インチキ会計基準」だというのが真相に近いだろう。

それだけでない。ドイツ銀行を中心とする欧州の金融機関が巨額の不良資産を隠している背景にはIFRSによる会計基準(IAS39)において保有目的区分変更が容認されているという点が大きいが、2009年に成立した金融商品会計基準「IFRS9」のように杜撰な会計基準が堂々と罷り通っており、実際にBCBS(バーゼル銀行監督委員会)は度々、IFRS9のルールに対して苦情を付けている。

その意味で、日本の上場会社が相次いでIFRSを採用していることについては、深く憂慮している。(2016/11/15 09:08)

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