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日東電工、ニッチで磨く粘りの経営

2016年4月18日(月)

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大量の要素技術研究から生まれる様々な商品を、時代に応じ次々投入し成長してきた。コモディティー市場には近寄らず、ニッチトップを追求。小さくてもうまみのある分野にこだわる。一度目を付けた技術は簡単には見限らず、需要が生まれるまで耐え忍び、花を咲かせる。

 「安全確認、よし!」

 10月下旬、日東電工は27カ国・地域の拠点を代表する社員を集めてリーダーを育成する「グローバルイノベーションウイーク」を1週間にわたって開催した。最終日の23日には、本社のある大阪の阪急うめだホールに全参加者約400人が集合。その始まりの合図が、参加者全員による冒頭の掛け声だ。

 同社では、今回のような大規模なイベントだけでなく、どんな会議でも参加者による指さしと安全確認の掛け声から始まる。参加者が数人の小規模なミーティングも例外ではない。全社員が安全への意識を高めるためだという。

 ただ、この日は400人の掛け声に負けず劣らず、会場が一段と盛り上がる一幕があった。「三新活動」と呼ばれる、同社が重視する戦略を体現した事業のコンテストだ。三新活動とは既存の事業での強みをベースに、新しい製品と用途を考え出し、この2つでもって新しい需要を作るという考え方を指す。

 コンテストには光電子工学分野など最先端分野で一定の成功を収めた事業モデルが並んだが、最も経営陣が高く評価したのが「めーでるシート」。サツマイモ農家の負担を軽減する農業用シートだ。農地にワラを敷き詰めるといった農家の重労働が緩和できるという。

 業績を足元で支えるのは、グローバルで市場が拡大している液晶パネル向けの偏光板や、スマートフォン(スマホ)のタッチパネルに使われる透明導電性フィルム(ITOフィルム)などの先端分野だ。いずれも好調で、2016年3月期は2期連続で過去最高の営業利益を更新する見通し。「めーでるシート」はそうした分野とは無縁の上、極めてニッチな製品になる。

 にもかかわらず、CTO(最高技術責任者)の西岡務・取締役は「めーでるこそ当社らしい製品」と話す。「顧客のニーズをいち早く捉え、『こういうものが欲しかった』と言われる製品をどこよりも早く作るのが日東電工流だ」。むしろ大手の競合が気付かないような一見地味でニッチな方が都合がいい。

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「日東電工、ニッチで磨く粘りの経営」の著者

飯山 辰之介

飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

2008年に日経BP社に入社。日経ビジネス編集部で製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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