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三陽商会、バーバリー喪失ではない失速の本質

「次のブランド」育成を阻んだ“三陽基準”と楽観論

2017年6月19日(月)

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三陽商会が「虎の子」バーバリーとの契約終了後、赤字に苦しむ。ただ“バーバリー喪失”は名門企業が失速した表面的な理由にすぎない。危機を直視せず成功体験にすがる体質によって、戦略が後手に回り続ける。

創業家による経営が長かった三陽商会
●三陽商会の売上高の推移と主な出来事
(写真=安室奈美恵:時事、上:時事、下:的野 弘路)

 「バーバリーの後に、三陽さんが用意したブランドの実力には懐疑的だったので、マッキントッシュは入れなかった」。ある百貨店の商品担当者は、主要店舗の売り場構成を考える中で、こう決断したという。実際にマッキントッシュに切り替えた百貨店のある売り場からは「バーバリーの7割程度は売れると思っていたが、想定には届かない」といった声も漏れてくる。

 三陽商会と英バーバリーのライセンス契約が切れたのは2015年6月。それ以降、業績悪化に歯止めがかからない。16年12月期決算は売上高が676億円で前の期比約3割減。最終損益は113億円と最終赤字に転落した。15年夏の時点であった、バーバリーの約350の売り場のうち、約260を「マッキントッシュ ロンドン」に切り替えたが想定の売り上げを確保できていない。

 大手アパレル4社のうちオンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングスは、15年に社長を交代。いずれも業界外部の出身者で、改革を急いできた。各社ともに売り上げ減少に歯止めはかかっていないものの、16年度の第3四半期までの9カ月累計で営業増益は確保している。

 それに比べて、大手4社の一角を占める三陽商会の不振は際立つ。当然、売り上げの半分を占めていたという「ミラクルブランドのバーバリー」(三陽商会の齊藤晋取締役兼専務執行役員事業本部長)がなくなった影響は大きい。

 だが同社のたどった歴史などから分析すると、単にバーバリーとの契約終了がもたらす業績悪化と片付けられない、会社をむしばんだ本質的な課題が見えてくる。

三陽商会がバーバリーの後に、力を入れる「マッキントッシュ ロンドン」。約260の売り場のうち、採算が合わない店は閉鎖の可能性も(写真=的野 弘路)

裏目に出た「三陽基準」

 吉原信之氏が1943年に創業した三陽商会は、戦後進駐軍からレインコート1万着の発注を受けたことで、アパレル企業としての大きな一歩を踏み出した。進駐軍のレインコートの発注を取り持ったのは、第一通商、現在の三井物産の繊維部門だ。

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「三陽商会、バーバリー喪失ではない失速の本質」の著者

染原 睦美

染原 睦美(そめはら・むつみ)

日経ビジネス記者

日経パソコン、日経ウーマンオンラインを経て、2013年4月から日経ビジネス記者。IT担当などを経て、日用品・化粧品担当。趣味は洗濯、昼酒、ピクニック。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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