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「香」が愛のコミュニケーションツール

<香道編:第2回>

2016年1月30日(土)

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練香などの香を焚く香炉。自分たちの空間で香を愉しむようにもなった
(日本香堂所蔵香炉 photo by nanaco)

木下:毎年、秋の風物詩である「正倉院展」では、何年かごとに「蘭奢待(らんじゃたい)」という有名な香木が陳列されています。

稲坂:あれは聖武天皇が大切にされていた遺品の一つとされます。死後、東大寺に遺愛の品々が奉献され、正倉院に封印され、「蘭奢待」と名付けられました。その名の由来ですが、「蘭」の字には”東”という字、「奢」には”大”、「待」には”寺”が含まれていて、これを繋ぎ合わせてみると”東大寺”という文字が浮かび上がってきます。東大寺の寺宝だと言いたかったところを、蘭奢待という銘にして、東大寺という文字を隠したとも言われ知的遊び心も感じます。

木下:後の時代の権力者たちもこの蘭奢待に魅せられていたんですよね。

稲坂:歴史に記録される最初の人物は、香道の礎を作った足利義政です。封印を解いて、でも遠慮がちに隅の方を少しだけ切って再び封印したんです。次は、足利幕府を滅ぼして新しい時代を作った革命児・織田信長が義政の隣を同じ大きさ(約10cm程)で切るんです。それは天下が信長に移ったことを世に知らせることであり、一片の香木が、一国一城よりも価値ありという伝説になりました。

木下:はじめは宗教の、祈りの儀礼に用いられていた香が、優美で実用の生活文化になり、次第に人が愉しむ為の趣向品へと向かっていくわけですね。

稲坂:奈良の都、平城京までは、仏教という宗教の中で香を使うことを前提としているんですが、「祈りの香」から「雅の香」へ移り変わっていきます。貴族たちは、自分たちの空間に香を持ち込んで、いわゆる「ルームフレグランス」として、香りを愉しむようになります。香りを着物に移すということも行われるようになります。それから香は漢方生薬でもあり、殺菌力もありましたので、防虫香としても使われました。

木下:香りを衣服などに染み込ませる「焚き染(し)める」という表現もありますが、衣服に香りを移す方法として、籠に衣服を被せて下から香炉で香を焚くという方法もとられていたようですね。奈良時代以降、香を焚くその形態が変わっていったということですよね。

稲坂:はい。仏に祈る為には焼香ですが、例えば室内で二人だけで過ごしたい時など、そんなことをしていたら面倒ですよね。そこで発明されたのが「薫物(たきもの)」で、現在の「練香(ねりこう)」と呼ばれているものです。

木下:それは丸薬状の。

稲坂:そうです。まず二大香木である「沈香(じんこう)」、「白檀(びゃくだん)」を刻んで、ミクロのパウダーにするんです。それから何種類もの香原料も全部パウダー状にして、それらを混ぜ、はちみつで練り合わせて丸薬状にします。それを壺に入れて密封し、地中に埋めて香りをなじませたものを、香炉で温めてたきます。

木下:随分、手間がかかっていますね。それをどのような手順で焚くのでしょうか。

「練香」は鑑真和上により伝えられたという説がある(photo by 日本香堂)

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「「香」が愛のコミュニケーションツール」の著者

木下 真理子

木下 真理子(きのした・まりこ)

書家/書道文化研究会 主宰

雅号は秀翠(しゅうすい)。中国及び日本古来の伝統芸術としての漢字、漢字仮名交じり書を探求。自身の創作活動の他に、映画、出版物、展覧会、広告等、様々な分野の題字を手掛ける。書道道研究会「翠風会」を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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