• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

<花道編:第2回> 花をいれること

2015年7月1日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回の記事から読む

侘び茶の湯の花(「花をいれる」作品の一例) photo by 新潮社

今日、花は私たちの日常風景の様々なシーンに溶け込んでいます。そして男女の性別に関係なく、花を愛でる気持ちを皆ごく自然に持っています。「花は美しい」。確かにそれは誰もが感じている真理です。では、なぜ美しいのか。花とどう向き合い、どう接すれば良いのか。その一つひとつに、花道家の川瀬敏郎さんは素晴らしい答えを示してくださいました。

「花」には、「花をたてる」「花をいれる」「花をいける」という3つの概念があります。

そして「花」のルーツには、神道における「依り代(よりしろ)」や仏教の「供花(くげ)」といった、宗教との結びつきがあります。まず「たてる」ということは、「人間の起源」や「人間の意志」を象徴する、聖性を意味しています。草木花を「しん」として、花瓶の中心に、大地にあるように「たてる」ことが重視されてきたのは、大地を鎮めるとともに、古代の神が依り憑く為のシンボルとしての「依り代」の精神を継承していることなのです。

木下真理子

素のままに「花をいれる」

川瀬:「花をたてる」一方で、自然の素のままの姿形を損なうことなく「花をいれる」ことも尊重されてきました。「なげいれ」と呼ばれています。「なげいれ」は、特に決まった形式はありませんし、器にしても場にしても自由で、その時々の人々の感情がありのまま、素直に表れるというものですね。

 日本は四季に恵まれたことが大きかったと思います。春の芽出しから冬枯れまで、千変万化の表情を見せる木々や千草に親しみを覚え、身近にその「生死」と「再生」を目のあたりにしてきました。そうした中から、草木花を通して、私たち人間の「命」の実相を見つめ、「こころの花」を愛でるという、日本固有の「花」の文化が形成されました。日本の「花」を理解する上で、「たてる」と「いれる」は重要なキーワードです。

 また「花」について次のような観点から見ることも出来ます。「花をたてる」時には、「込み藁」と呼ばれる藁を束ねた中に「たてる」のですが、「人間の作為」を尊重するいけばなでは「花留め」が重要で、それは現在よく使われている「剣山」まで、一貫して変わりません。「花」を花瓶の上の形式ではなく、「花留め」という観点から見ていくと、逆にその本質がよく見えてくるのです。

 自然の草木の多くは風雨に晒され、歪んでいたり、曲がっていたりと、真っ直ぐな植生のものは限られています。つまり、「たてはな」や「立花」に用いる花は限られますが、「なげいれ」は「花留め」を使わないことから、自由で、全ての草木花を受け入れます。

 心にとまった花をさっと掴み、生命の源である水に放つように器に入れる。「花留め」を用いないので、花も器の中で留まるところにしか留まりませんから、「人間の作意を超えた」、「花の意志」が自然と息づくとともに、自ずとその人の「こころ」が浮び上がってきます。言ってみれば「花をいれる」とはそういうことです。日本人は花との長いつき合いを通じて、もの言わぬ花をその姿形のまま生かすことが、最も多くの真実を語ることをよく知っていたのです。

コメント0

「和道 日本文化 心のしきたり 美のこだわり」のバックナンバー

一覧

「<花道編:第2回> 花をいれること」の著者

木下 真理子

木下 真理子(きのした・まりこ)

書家/書道文化研究会 主宰

雅号は秀翠(しゅうすい)。中国及び日本古来の伝統芸術としての漢字、漢字仮名交じり書を探求。自身の創作活動の他に、映画、出版物、展覧会、広告等、様々な分野の題字を手掛ける。書道道研究会「翠風会」を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の未来は、男性と同じ程度、女性のリーダーが作っていくものだと確信している。

ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長