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利休切腹から、千家復興までの苦難の道のり

2017年1月13日(金)

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戸口に座り、扇子を膝前に置き、お辞儀して茶室に入る
(photo by nanaco、以下同)

 今日、千利休の系譜である表千家、裏千家、武者小路千家は茶道の名門として広く知られています。しかし、利休切腹後、千家が再興し、三千家が成立するまでには、苦難の道のりがあったことはあまり知られていません。

 中世日本文学をご専門とされ、表千家の不審菴文庫の運営にも携わっていらっしゃる生形貴重さんとお話させて頂いた「茶道編」の最終回は、利休亡き後、茶の湯はどのように変わっていたのか、そして千家はどのように復活していったのかということにスポットを当てました。そこには伝統を守り抜くという信念と、人と人の絆のドラマがあります。

書家 木下真理子

前回から読む)

「利休切腹」の知られざる真相

木下:ところで、利休には権力と一緒になりながら大きくなっていった面と、権力とは一線を引いて自らの美学に忠実だったという面があると思うのですが。歴史に残る出来事となった「利休切腹」については、後者の部分が要因となって起こったことなのでしょうか。

生形:利休の切腹を、“芸術”と“権力”の対決という形で捉えるのは間違っていますね。それはあまりにも理念的な解釈なんです。

 真相は、秀吉に忠誠を尽くし、中央集権国家を目指す石田三成らの「集権派」と、信長時代からの下剋上体験者で、中央政権の干渉を嫌う家康ら「分権派」との、政権内部での深刻な対立構造が背景にありました。

 そんな中で、東北の伊達政宗に反逆の疑いがかかり、伊達を滅ぼそうとする三成らと、守ろうとする家康らの綱引きがあって。秀吉は政権の分裂を避ける為に、伊達の取次役であった利休を一人犠牲にしたのです。このことは、近く著書としてまとめます(『利休の下剋上』河原書店より2017年5月に発売予定)。

茶器の「棗(なつめ)」が服紗で清められる

木下:一般に利休切腹の理由というのは、利休が自身の木像を大徳寺に建立させたことが秀吉の怒りを買った為と言われていますよね。

生形:それはでっち上げの罪状ですね。そもそも大徳寺山門修繕は切腹の二年も前のことなんです。修繕には、前田利家、細川三斎、浅野長政など、利休と親しい大名たちが協力していましたが、彼らは三成たちと対立する立場の人たちで、伊達問題では政宗の擁護派でした。

 つまり、大徳寺問題を罪に問うということは、対立グループへの強力な政治的メッセージなんです。

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「利休切腹から、千家復興までの苦難の道のり」の著者

木下 真理子

木下 真理子(きのした・まりこ)

書家/書道文化研究会 主宰

雅号は秀翠(しゅうすい)。中国及び日本古来の伝統芸術としての漢字、漢字仮名交じり書を探求。自身の創作活動の他に、映画、出版物、展覧会、広告等、様々な分野の題字を手掛ける。書道道研究会「翠風会」を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三品 和広 神戸大学教授