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現地従業員のプライドが、次代のホンダをつくる

第30回 岩田秀信 元ホンダ専務執行役員(3)

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2016年6月13日(月)

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 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)が次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。4月の授業に登壇したホンダ元専務執行役員の岩田秀信氏はリーマンショック後に赴任した北米ホンダでホンダフィロソフィーの形骸化、企業文化の風化という危機を目の当たりにした。

 日本のホンダで10年以上に渡り静かに進行して来た企業文化変質の影響や、アメリカの一般社会の価値観の潜入により、ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング(HAM)の企業文化は変質していた。そういう状況にあったHAMにもう一度ホンダの良き企業文化のエッセンスを復活させ、米国人としてのマインド、価値観を生かしながら魅力ある環境をつくるため、トップである岩田氏はどんな手を打ったか。「チャレンジ」「個の活性化」「リスペクト」というキーワードを掲げて奔走した5年間の取り組みを説明した。

(取材・構成:小林 佳代)

前回から読む)

米国社会の価値観も「企業文化」変質の原因に

 2009年、リーマンショック後で揺れるホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング(HAM)へ赴任した時に直面した企業文化変質の根本原因は、日本のホンダ自体の企業文化の変質にあると説明しました。

 しかし、30年以上にわたる時間の経過とともに、アメリカ社会の中にある価値観もまた、企業文化の変質を促す大きな要因となっていました。

 米国というとフロンティア精神にあふれ、チャレンジングな風土であるというイメージを持っている方が多いと思います。実際にそうした気風を持ち、ヒーローを尊重しようとする多くの方がいる一方で、人間関係に利害が介在する会社組織の中では、意外なほど保守的な側面があることに気づかされました。

岩田 秀信(いわた・ひでのぶ)氏
元ホンダ専務執行役員
1978年名古屋大学院修了。本田技研工業に入社。ホンダエンジニアリング、ホンダエンジニアリングノースアメリカでの勤務を経て2005年ホンダ執行役員、ホンダエンジニアリング社長、2007年鈴鹿製作所長に就任。2008年ホンダ常務執行役員、2009年ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリングのCEO(最高経営責任者)に。2011年ホンダ専務執行役員を務め、2014年に退職。社友に (写真=陶山 勉、以下同)

 会社設立以来、三十数年の歴史を重ねたHAMでは先に入社したアソシエートが優遇される「Seniority制」が厳しく守られていますし、ほとんどのマネージャーポジションへの登用は経験と同じくらいに学歴(資格)の有無が重用視されます。

 こうした環境が企業活動の自由度を阻害し、「エグゼンプトアソシエート(年俸制で働き、仕事の成果次第で評価が変わるような従業員)」と、「ノンエグゼンプトアソシエート」(時間給で働き評価による賃金差がない従業員)の間に、フィロソフィに対する意識格差を醸成する原因にもなっていたのです。

 転職が比較的自由で、ダイバーシティ(人材の多様性)を重んじるアメリカ社会では公平性を保つために、経験とともに学歴を非常に重用視します。だからこそ、米国の学生は年間400万円、500万円もする高額な学費を借金してでも、大学卒業の資格を得ようとするのです。

 学歴によってキャリア形成に差があるのは、なにもアメリカに限ったことではなく、タイやその他のホンダ現地法人(現法)でも同じような状況を見てきました。日本でも多くの伝統的な企業の中では同様であると聞いていますので、ホンダが目指してきた無学歴主義や、職位役割論が異質であるのかもしれません。

根強い学歴主義、日本とは異なる価値観

 いずれにしても「大学卒業」というステータスを得るために先行投資をしてきた人たちからすれば、何の投資もしてこなかった人達と同等に扱われることが「逆差別」の様に感じられるようです。

 こうした意識は、いくらでも活躍の場があった会社の創業期には問題にはなりませんでした。しかし、会社が停滞期に入って活躍の場が限定的となり、昇進、昇格の機会が減少するとともに一層顕著になりました。また中途採用された中堅幹部アソシエートの中には、資格を持たない人の登用にはっきりと反対する人がいるのを、何度も経験しました。

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