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新事業の成功率はイチローの打率より低い

第39回 宮内義彦 オリックス シニア・チェアマン(4)

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2016年9月12日(月)

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 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)が次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。7月の授業に登場したオリックスの宮内義彦シニア・チェアマンは自身の体験を基に、企業経営と日本経済について語った。

 講義の後半では受講生との間で質疑応答が繰り広げられた。真のリーダーがなすべきこととは何か、企業の新事業を成功させるにはどうすれば良いか、スムーズにトップを交代する秘訣はあるのか……。30余年、トップとしてオリックスを率い一大企業グループに成長させた宮内氏は、一つひとつの質問に率直かつ真摯に答えた。

(取材・構成:小林佳代)

宮内義彦(みやうち・よしひこ)氏
オリックス シニア・チェアマン
1935年神戸市生まれ。1958年関西学院大学を卒業後、米国に留学。1960年ワシントン大学でMBA(経営学修士)を取得。同年日綿実業(現双日)入社。1964年オリエント・リース(現オリックス)に入社。1970年取締役を経て、1980年代表取締役社長・グループCEOに就任。2000年代表取締役会長・グループCEO、2003年取締役兼代表執行役会長・グループCEOを歴任。2014年から現職。(写真=陶山 勉、以下同)

「企業とは何のためにあるか」を考えるべし

【あるべきリーダー像について】

(受講者)日本の「失われた10年」「失われた20年」の間には、リーダーも育つことができなかったのではないかという問題意識を持っています。そこが今、世界の中で日本が決定的に遅れている部分なのではないかと。長く、経営者として第一線にいらっしゃった宮内さんから見て、我々のようにリーダーになろうとしている人間が本当の成長を遂げるには、どんな努力をすべきなのか、ぜひご教示いただけたらと思います。

宮内:少し書生っぽいことを言います。リーダーを目指す人には、「企業とは何のためにあるか」をぜひ一度考えてみていただきたいと思います。

 企業とは社会の役に立つために存在しているのだと私は考えています。具体的に言うと、社会に対して経済的な富をつくり上げるために存在している。競争し、切磋琢磨し合い、より質の高いもの、より安いものなど、これまでになかった価値をつくり上げ提供する。これこそ企業が果たすべき使命です。これができないのならば、企業なんていう存在は不要だと思います。

 社会に新しい価値をつくるにはイノベーションを起こすことが必要です。イノベーションを起こすにはリスクテークが欠かせません。つまり、企業というのはリスクを取ってイノベーティブに動くことに存在意義があるのです。だから企業の経営者はコストカットなんてことに注力していてはいけない。そんなのは経理部長や総務部長のやることであって、社長のやることではないはずです。

 繰り返しますが、リーダーがやるべきはイノベーションを起こすことです。これ以外にはない。コストカット、リストラ、選択と集中……。こんなものからはイノベーションは生まれません。リーダーを目指す皆さんには、今のうちからぜひそういう意識を持ち続けてほしいと思います。

いちばん大切なのは、「世の中がどちらに向いて走っているか」

(受講者)長くオリックスのトップを務められた宮内さんから見て、経営者に必要な資質とは何でしょうか。

宮内:いちばん必要なのは「世の中がどちらに向いて走っているのか」というマクロの感覚だと思います。自分たちの事業を客観的に見て、「今の方向でいいのか」「世の中の流れに乗っているのか」「よその会社はどうしているのか」を感じ取り、進むべき方向を指し示す。少し俯瞰的な視線を持つことが大事です。実際の事業をどう動かすかというミクロな部分はナンバー2、ナンバー3に任せたって構わないと私は思います。

 バブル期にある銀行の頭取と会食をした時のことです。当時は日本中が財テクと不動産投資に走っていた時代で、オリックスもその1プレーヤーでした。雑談で彼が「宮内さん、こんなに金融緩和をしているのに消費者物価指数(CPI)が全然上がりませんね。不思議なものですね」と言いました。その時、私はふと「そういえばそうだ」「これは変だぞ」と感じました。何気ない会話ですが、そのやりとりが私の頭にこびりついて仕方がない。「何かがおかしい」という感覚がいつまでもぬぐえませんでした。

 数日考え続けた末、不動産投資の条件を厳しくして投資額を絞ることを決めました。当然、多くの取り引きが競合他社に流れ、オリックスの不動産ビジネスの売り上げはどんどん落ちていきました。不動産セクションのトップの中には、「やっていられない」と退社する者も出ましたが、それでも私は決めた方針を貫きました。

 しばらくしてバブルが崩壊すると、投資を絞り込んでいたオリックスは痛手を最小限に抑えることができました。一方、イケイケドンドンで投資していた競合他社は極めて厳しい状況に陥りました。あそこで方向転換しなければ、たぶんオリックスも苦境に陥ったことでしょう。

 条件を厳しくして不動産投資額を絞るという決断に自信があったわけではありません。実際、商売はどんどん減っていくのですから、数カ月間はとてもイヤな気分を味わいました。それでも自分のマクロ感を信じました。結果、それが幸いしました。

 経営者に本当に大切なのはこういうマクロ感覚です。それを磨くには、いろいろな人と付き合い、正しい情報源を持っておくことが大切なのではないかと思います。

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