• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

東京電力はなぜ簡単にはつぶれないのか

第8回 財務諸表で読み解くインフラ企業・太田康広教授(1)

  • 慶応ビジネス・スクール

バックナンバー

2015年9月7日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)は今年4月、エグゼクティブ向けに特化した「Executive MBA」を開設した。

 プログラムは経営の根幹を理解し実践する上で必須のコア能力を習得する「コア科目」、経営者の能力と魅力の原点を突き詰めて自身のリーダーシップと経営哲学を確立する力を養う「経営者討論科目」、現実の市場で新たな機会を発見したり経営現場の課題をトップの視点で解決したりする力を身につける「フィールド科目」などから構成する。

 今回は「コア科目」の中から太田康広教授が行った会計管理の授業を取り上げる。テーマは「東京電力 福島第1原発と賠償スキーム」。インフラ系企業に特有の財務諸表を読み解きながら、電力システム改革、事故の賠償責任などについて、幅広く考察する。

(取材・構成:小林佳代)

太田 康広(おおた・やすひろ)
1992年慶応義塾大学経済学部卒業、94年東京大学より修士(経済学)取得。97年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2002年、米ニューヨーク州立大学バッファロー校スクール・オブ・マネジメント博士課程修了。2003年Ph.D.(Management)取得。2002年ヨーク大学ジョゼフ・E・アトキンソン教養・専門研究学部管理研究学科専任講師、2003年助教授を経て、2005年慶応義塾大学大学院経営管理研究科助教授、2007年准教授、2011年より教授。(写真=陶山勉、以下同)

 本日の会計管理のテーマは「東京電力」です。皆さんに非常になじみ深い企業ですし、福島第1原子力発電所の事故は記憶に新しいことと思います。

 電力会社は公共政策的な側面が入るという点が他の企業とは異なります。

 通常、外部に発表する財務諸表には投資家の意思決定、また株主の意思決定などに役立つという意義がありますが、東京電力の場合は利害関係者の富の配分の問題、より具体的に言えば電気料金をどうするかなどにもかかわってきます。

 では早速、東京電力の財務諸表を見ていきましょう。

 ここにある貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)は2011年3月31日のものです。さて、この2011年3月31日ってどういう日でしょうね。

受講者:東日本大震災が発生した直後です。

 そうですね。ちょうど20日後です。この頃、どんな状況だったか覚えていらっしゃいますか。

                                     

受講者:計画停電が行われていました。

経理部にとっても最悪のタイミングだった震災

 そうでしたね。この日吉キャンパスも計画停電の範囲内に入っていて、日が没んだら授業を止めて帰るように、コンピューターも使わないようになどと言われていました。

 計画停電のほかにはどうですか。

受講者:私の会社では工場が被災して製品が全く出せない状態になっていました。ガソリン不足でトラックの確保もできず、物流の問題に対応するのが非常に大変だった記憶があります。

 そうですよね。企業はあの時期、本当にどこも大変でした。

 私の友人、知人は企業の経理部などで会計関係の仕事をしている人が多いのですが、彼らは震災や原発事故とはまた別の危機に直面していました。当時のSNS(交流サイト)には「3月決算、どうするんだ」という悲痛なつぶやきが飛び交っていましたね。

 企業の中には、東北にある工場や倉庫が被災しているところも少なくありませんでした。けれども、どれぐらいの被災状況なのか、どれぐらいの損失なのかは本社では全く分からない。棚卸の情報も入ってこない。それでも3月決算の企業は3月31日には決算を締めないといけませんからね。

 通常、3月決算の企業が東京証券取引所に出す決算短信は5月半ばが締め切りです。有価証券報告書は6月30日が締め切り。経理部にとっては本当に最悪のタイミングで震災が起こってしまったのです。

 結局、この年には金融庁が被災企業を対象に提出期限を3カ月延長する特例措置を導入しました。でも意外に例年通りの日付で遅れずに出した会社が多かったように思います。

 この東京電力の財務諸表も、「よく締めたな」と思いますね。3月31日といったら、福島第1原発で水素爆発が起きたり、陸上自衛隊のヘリコプターが上空から水をまいたりしていた直後。まだ事故は予断を許さない状況でしたから。

コメント3

「慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の社会に足りないのは起業家精神です。

デイビッド・ルーベンシュタイン 米カーライル・グループ共同創業者兼共同最高経営責任者