• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

原発事故の損害賠償原資は、どこから得るか

第11回 財務諸表で読み解くインフラ企業・太田康広教授(4)

  • 慶応ビジネス・スクール

バックナンバー

2015年10月5日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)がエグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。

 太田康広教授は「東京電力 福島第1原発と賠償スキーム」をテーマとする会計管理の授業を行った。最後には東京電力が負った巨額の損害賠償責任を、誰が分かち合うべきかという議論に踏み込んだ。金融機関か、株主か、利用者か…。「原子力損害賠償支援機構」の仕組みを解説しながら、損害賠償債務がオフバランスになる実情も明かした。

(取材・構成:小林佳代、写真=陶山勉、以下同)

 少しおさらいをします。

 東電は発電、送電、配電といった設備を持っています。それぞれざっと2兆円で合わせて6兆円強。

 長期に運用する設備は長期の資金を調達して充当するというのが、ファイナンスの基本ですから、東電が持っている発送電の設備が、全部純資産でカバーされていれば理想的でしたが、純資産は1.6兆円。全然足りていません。

 では財務諸表を見てください。東京電力はほかに、どうやってファイナンスをしているでしょう。

受講者:銀行からの借入金があります。

 いくらありますか。

受講者:長期が3.4兆円、短期が0.4兆円で合わせて3.8兆円です。

 そうですね。この借入金、急に増えてます。前期は長期が1.6兆円、短期が0.3兆円で1.9兆円ですから、2兆円近く跳ね上がりました。では、それにバランスする資産は何が増えましたか。

受講者:現預金が増えています。

東電に損害賠償責任はあるか?

 そうですね。現預金が2兆円ぐらい増えて2.2兆円になっています。なぜ急に2兆円も増えたのでしょうか。

受講者:原発事故の被害者への賠償準備ではないでしょうか。

 前にお話ししたように、この時点で東電は、賠償するかどうかを決まっていなかったのです。

 日本には原子力損害賠償法という法律があります。原発災害が生じた場合の賠償措置を定めた法律です。この法律では、損害が異常に巨大な天災地変によって 生じた場合には原子力事業者に損害賠償責任はないとしています。

 東京電力やマスコミは、事故後、「想定の範囲を超える津波」により電源が失われて原発事故につながったと繰り返していました。しかし、この点については、2012年7月に、東京電力は免責されないと東京地裁の判決が出ています。

 3月31日の段階では賠償金を払うかどうかは決まっていなかった。従って、この現預金は賠償準備ではありません。

 では、ちょっと角度を変えて見てみましょう。借入金のほかは何でファイナンスしているでしょう。

受講者:社債があります。固定負債の方に4.4兆円計上されています。

 そうですね。「1年以内に期限到来する固定負債」の一部も社債です。合わせて5.0兆円。

 前年を見ると、1年以内に期限が到来する固定負債が同じく7000億円くらいありますね。ここから分かることは、毎年7000億円ほど償還し、同じぐらいの額の社債を発行して回しているということです。

 東京電力の有価証券報告書を見ますと、約5.0兆円の社債は、1年以内に償還するものが5500億円程度、1年〜2年が7500億円程度、2年〜3年が5900億円程度、3年〜4年が4500億円程度、4年〜5年が4400億円程度となっています。

コメント6

「慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長