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仲井真知事の辺野古埋め立て承認とその後

2015年8月20日(木)

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 2013年になると、上司である「沖縄外務大臣」が以下の見通しを語った――仲井真弘多知事(当時)は辺野古の埋め立てを承認する可能性が高い。その場合、日本政府は工事を進めるが、反対派に阻止される。その時点で普天間飛行場移設を放棄し、その責任を沖縄県に押し付けるだろう。そして、いつか普天間飛行場から飛び立つ軍用機が墜落事故を起こし、大混乱になることは必至だ。その際に被害を受けるのが沖縄県民であることもまた腹立たしい。

 このため、同知事が承認の可否を判断する状況を作らせないことが、「沖縄外務大臣」の最大のテーマであり、彼から筆者への指示だった。もし仲井真知事が埋め立てを承認すれば、その時点で同知事の政治力は失われる。「沖縄外務大臣」の表現を借りれば「ハラキリ」だ。当時の状況を考えると、知事がハラキリしても何も解決せず、ハラキリ損に終わる。

 こうした危機感を持って「沖縄外務大臣」は、ワシントンに単独で何度も出張し、国務省や国防総省のキャリア官僚(日本部長や東アジア部長)と面談した。筆者も「国務次官補候補との面談~タイミングをめぐる駆け引き」などで述べた活動に取り組んだ。「沖縄外務省」は大臣と著者しかいないので、文字通り「沖縄外務省」総出でベストを尽くした。

 しかし、ワシントンに出張して得られる言葉は、「たとえ、それが日米同盟を危機に至らせることを意味しようとも、米政府が辺野古案を再考するのは難しい」というものだった。アジア担当の政治任用クラス(国務次官補など)は、現状を変革しようとするタイプではなく、既定路線に従う人物たちだった。

 ケリー国務長官の眼は中東に向いていた。オバマ大統領も、鳩山由起夫首相(当時)が「トラスト・ミー」発言をした後、その発言を二転三転させたために、普天間飛行場移設問題を煙たく感じているという話が漏れ伝わってきた。中国の脅威を考えれば、普天間飛行場移設問題でこれ以上混迷が続くのは好ましくないという見方もあった。議会筋からは、ウェッブ議員やマケイン議員が推奨した嘉手納統合案を軍側に潰された以上、「もう打てる手はない」という意見が聞かれた。筆者への同情も数多く耳にしたが、状況は厳しかった。

自民党議員、県連が辺野古案を容認

 こうして、時が刻々と過ぎるなか、自民党は、知事の埋め立て承認に対する障害物を外堀から埋めていった。2013年11月25日、沖縄選出の自民党議員5人に辺野古案容認を認めさせた。うなだれる5人の隣で意気揚々と石破茂幹事長(当時)が語る光景が報道された。時をおかず、11月28日、自民党県連も辺野古案容認となった。地元紙はこれを激しく批判した。

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「仲井真知事の辺野古埋め立て承認とその後」の著者

吉川 由紀枝

吉川 由紀枝(よしかわ・ゆきえ)

ライシャワーセンター 研究員

慶応義塾大学商学部卒業。アクセンチュアに勤務。2005年コロンビア大学にて修士号取得後、ライシャワーセンターにてアジャンクト・フェロー。2012年-2014年は沖縄県知事公室地域安全政策課主任研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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