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米国のアジアシフトは前途多難

沖縄県への“遺言”(その2)

2015年9月10日(木)

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 上司である「沖縄外務大臣」から筆者への最後の指示は、翁長雄志・新沖縄県知事のために「武器になる情報」をまとめてほしいということだった。新知事がこれから米国と向き合うにあたって、事前に知っておくべき、有用な情報をまとめるということだ。

 「基礎情報編」と「米国の最近の動向と将来予測」の2部構成にした。基礎情報については前回説明したので、「米国の最近の動向と将来予測」を以下に述べたい。

 第1に米国の政治日程である。米国では、全国区の選挙(議会は2年ごと、大統領は4年ごと)は偶数の年に行われる。2014年の中間選挙が終わった辺りからオバマ政権のレイムダック化が顕著になりだす。そうなれば、大きな政治判断を期待することはできない。特に選挙の年の2016年はその傾向が強くなる。

 一方、ポスト・オバマの新政権が発足する時は大いに運動すべき時期となる。なぜなら、発足してから約半年間は、対日政策のアジェンダ検討、作戦タイムだからだ。対日政策のアジェンダが固まった後に覆すのは難しいが、検討中にこちらからインプットをしておけば、アジェンダ・セッティングに影響を与えられる可能性が大きい。

米国には底力があるが…

 第2は、米国の底力について。世界最大の軍事力、国際世論をリードする力、富裕国との同盟網、国際法規・規範の構想力、基軸通貨、米軍基地・諜報ネットワークといったものが健在だ。これらは、覇権(世界の安全保障へのコミットメント)に必要な資産であるが、そのメンテナンスコストは少なからず重荷になっている。

 他方、中国が持つ資産としては、経済力・軍事力(+ポテンシャル)、国連安保理での拒否権、米国債の大量保有が挙げられる。これらは米国が持つ資産に遠く及ばない。ただし中国は、米国にグローバルに対抗するほどの国力はないが、東アジア地域を中心に非対称的に挑戦する場面は増えていくことが予測される。

アジアシフトは容易ではない

 第3は米国の動向予測について。米国は最近、アジア重視の政策を打ち出しているが、財政難や人材不足、アジア以外の地域における政情不安などのため、その前途は厳しい。

 財政難については、民主党と共和党との間にある溝が埋めがたい。民主党は富裕層への増税を、共和党はオバマケアの廃止などによる政府支出の削減を主張している。ゆえに、一律削減といった妥協案(予算強制削減措置)が実行されている。

 人材については、アジアシフトを提唱したヒラリー・クリントン国務長官(当時)、彼女を支えたカート・キャンベル国務次官補(同)のほか、トム・ドニロン国家安全保障大統領補佐官(同)らが退任してしまったことが大きい。

 アジア以外の地域の政情不安については、イラク・シリア(ISIS)、イラン核問題、ウクライナ問題、イスラエル・パレスチナ問題など、アジアよりも眼を向けざるを得ない問題が山積している。

 米国の財政難が米軍に与える影響について、国防総省は2014年の「国防計画見直し(QDR)」において、2001年の米同時多発テロ事件以降最大20.3万人(2009年)にまで膨れ上がった海兵隊を17万5000~18万2000人に削減すると述べている。また、予算強制削減措置により、2013年3月から10年間で1.2兆ドルの歳出削減が始まった。この額のうち半分を軍事費が占める。2014年度と2015年度については、この措置を適用せず、微増という合意が議会で成立した。だが、2016年度以降について合意はまだない。

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「米国のアジアシフトは前途多難」の著者

吉川 由紀枝

吉川 由紀枝(よしかわ・ゆきえ)

ライシャワーセンター 研究員

慶応義塾大学商学部卒業。アクセンチュアに勤務。2005年コロンビア大学にて修士号取得後、ライシャワーセンターにてアジャンクト・フェロー。2012年-2014年は沖縄県知事公室地域安全政策課主任研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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