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シャープ株主総会、OBたちの思いは

2016年6月24日(金)

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 6月23日、朝の8時。小雨だが風が強く吹きつける悪天候のなか、天気以上に荒れそうな大阪市内のオリックス劇場に、続々と人が集まってきた。「この会社はどうなるのかね」。70代の株主は不安そうにこうつぶやく。シャープの第122期定時株主総会がこれから開催されるのだ。

会場の大阪・オリックス劇場に続々と株主が詰めかける

 台湾の大手EMS(電子機器の受託製造サービス)、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る見通しのシャープ。株主総会での髙橋興三社長の発言や株主からの質問に注目が集まっており、開場30分前には既に報道陣と参加する株主とで入口はごった返していた。

 集まった株主の年齢層は比較的高い。60歳代の株主は「ずっとシャープ製品を愛用している。台湾企業の傘下入りは本当に悲しい。経営者に日本企業の誇りはないのかね」と、開始前から怒り心頭のようだ。

 昨年の株主総会の出席人数は1212人。3時間23分もの長丁場となった。果たして今年は何時間になるのだろうか。

まず役員一同おじぎ「深くお詫び申し上げる」

 9時半、定刻通りにシャープの株主総会が始まった。

 「株主のみなさま、おはようございます。髙橋興三でございます」。銀色のネクタイを締め壇上に現れた髙橋社長に、会場中の視線が集中する。少し緊張気味の面持ちだ。

 「議事に入る前に、役員一同お立ちください」と切り出すと、檀上の役員が一斉に立ち上がる。「赤字という大変厳しい業績となり、配当金につきましても4年に渡り無配となり深くお詫び申し上げます」。髙橋社長に合わせ、檀上の役員一同が5秒間ほどおじぎをする。

 「鴻海精密工業をはじめとする4社とともに、再生と成長に向けて加速させて参る所存ですので、なお一層のご支援をお願いいたします」。「鴻海」の単語が髙橋社長の口から出て、会場に少し緊張が走った。

 シャープの2016年3月期決算(連結)は、売上高12%減の2兆4615億円。営業損益は1619億円の赤字(前の期は同480億円の赤字)。最終損益は2559億円の赤字(前の期は2223億円の赤字)だった。液晶パネルを筆頭に、テレビや携帯電話、太陽電池事業の販売も苦戦。単独での再建を断念し、4月2日、鴻海との買収契約を締結した。

 事業概要をまとめた映像が会場で流れた後に、再び髙橋社長が登壇。「対処すべき構造改革を進めてまいりました。しかし中国市場のスマートフォン向け市場の悪化などにより、連結決算においても債務超過となりました。東証1部から2部への指定替えとなり、お詫び申し上げます」。再び頭を下げる髙橋社長。

 鴻海と買収契約を結んだ狙いについて、「鴻海は液晶事業においてシャープと相互補完的な状況にあり、生産性やコスト競争力の強化が見込まれます。相乗効果は大きく、再建に欠かせないと思われます」と説明。自身の進退は「鴻海の払い込みが完了した後に退任いたします。鴻海の戴正呉副総裁がシャープの社長に、野村勝明が副社長として支えます」と述べた。

 戴氏は、鴻海の副総裁であり日本通で有名。日本駐在経験もあり流暢な日本語を話す。4月2日に堺ディスプレイプロダクトで開催した鴻海との共同記者会見でも、鴻海の郭台銘董事長、シャープの髙橋社長と並んで檀上に座っていた。

 その後、野村勝明副社長が登壇し、鴻海との戦略的提携についての説明を開始。「シャープは長年にわたるディスプレー技術があります。鴻海はそれを一気に世界へ展開する力がある。互いの強みを発揮し、世界で勝ち抜いていきます」。

 髙橋社長が再び登壇。6つの決議事項を読み上げる。内容は以下の通りだ。

 第1号議案「定款一部変更の件」、第2号議案「第三者割当による募集株式(普通株式及びC種種類株式)発行の件」、第3号議案「取締役10名選任の件」、第4号議案「会計監査人選任の件」、第5号議案「取締役の報酬等の額の改定及び内容決定の件」、第6号議案「ストックオプションとして新株予約権を発行する件」。

 取締役候補の10名は、髙橋興三社長(鴻海の払い込み後辞任)、長谷川祥典専務(コンシューマーエレクトロニクスカンパニー社長)、野村勝明副社長、沖津雅浩氏(健康・環境システム事業本部長)、戴正呉(たいせいご)・鴻海科技集団副総裁、劉揚偉(りゅうやんうぇい)・晶兆創新股份有限公司董事長、中川威雄ファインテック会長、高山俊明フォックスコン・ジャパン代表取締役、社外取締役候補者に、パナソニック出身の中矢一也氏、ソニー出身の石田佳久氏。10名のうち、戴氏、劉氏、中川氏、高山氏、中矢氏、石田氏は鴻海側が指名したと見られている。

革新機構より「鴻海との提携がベスト」

 いよいよ株主からの質問、と思いきや、その前に、事前に株主から受けた質問への回答を始める橋本仁宏取締役。東芝同様、株主から多く寄せられる質問をまとめて答えるようだ。

 最も注目が集まっていた鴻海傘下入りの決定について、「なぜ産業革新機構ではなく鴻海なのかについて答えます。提携によるシナジー効果もあり、鴻海との提携がベストだと感じた。交渉内容の詳細はご容赦いただきたい」と説明した。

 こうして、ようやく来場した株主からの質疑応答が始まった。最初の質問者は、シャープで働いていたという男性だった。

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「シャープ株主総会、OBたちの思いは」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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