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「どうせ大統領は議会を機能不全にするよ」

永遠の資源大国、ベネズエラの夜明け前(2)

2015年12月15日(火)

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 12月6日に開催されたベネズエラ国会議員選挙で、故ウーゴ・チャベス元大統領の流れをくむ与党PSUV(ベネズエラ統一社会党)が大敗、中道右派のMUD(民主統一テーブル)が3分の2を超える議席数を獲得した。ベネズエラは経済の崩壊と深刻な物不足、治安の極度な悪化に直面している。野党大勝で苦境のベネズエラは変わるのだろうか? 1回目はこちら

カラカス郊外のバリオ。ある意味で細密画。

 ベネズエラには1ドル6.3ボリバルの公定レートに加えて、1ドル13.5ボリバルのSICAD、1ドル約200ボリバルのSIMADI、1ドル900ボリバル前後の闇レートの主に4つの為替レートが併存している。

 公定レートは食料品や医薬品などの基礎生活品を輸入する企業や政府の調達品などに適用される。ボリバルの実勢に対してボリバル高に据え置いているのは、輸入価格を抑えて安価に国民に分配するためだ。ジェトロ・カラカス事務所の松浦健太郎所長によれば、食料品と医薬品で90~100億ドル分が公定レートで輸入されたという。

公定レートと闇レートの差は138倍

 一方のSICADは主に民間企業の原料調達のためのレートだが、政府自身がドル不足のため、業種などを決めての入札方式を採る。2014年は合計26回、54億ドル分の入札が行われたが、今年は2回、計5億ドルに過ぎない。それだけ外貨不足が深刻ということであり、製造業にとっては部品など原材料の輸入が困難になっているということである。

 現実に、三菱自動車などの組み立てと販売を手がける双日のベネズエラ子会社MMCアウトモトリスでは部品が払底、生産が止まった。トヨタの組立工場も、12月中に部品がなくなると囁かれる。

 SIMADIは2015年2月に導入された新レートで、より制限なくドルを調達できるよう、当時の闇レートの相場に併せて導入された。その後、10カ月で闇レートでのボリバル安が急激に進んだため、位置づけのよく分からない存在になっている。空港での換金やクレジットカード払いの際の交換レートは基本的にSIMADIだ。

空港で200ドルを換金したらこの有様。しかも、ボリバルからドルへの換金は闇市場でなければできない。

 なお、闇レートは、ドルとコロンビア・ペソのレートと、コロンビア・ベネズエラ国境における闇レートを掛け合わせて算出されたもので、12月10日現在で1ドル869.57ボリバルである(出所:dolartoday)。

 このように、必需品は公定レートで輸入されるが、公定レートでのドル割り当ては規制が厳しく、誰でも6.3ボリバルでドルを取得できるわけではない。結果として、1ドル200ボリバルのSIMADI、あるいは闇レートで輸入せざるを得ず、インフレが加速する。

「ボリバルを引き出すたびにピン札が出てくる」

 インフレについていえば、PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)の経営悪化に伴うボリバルの供給過剰も大きい。

車の中から撮っているので分かりにくいが、ベネズエラ中央銀行の本店。壁にチャベス元大統領の写真がデカデカと貼ってある。中銀総裁と口論になった際に、「ほんの10億ドルほしいだけなんだ」と言ったという逸話が残るように、チャベス大統領は中銀を財布代わりに使った。

 PDVSAはベネズエラの外貨の大半を稼ぐ存在であり、輸出で稼いだドルの半分程度をベネズエラ中銀に売却している。その際の為替レートは公定レートだが、人件費などはインフレに連動して上昇しているため、経営環境は厳しい。そこで政府はPDVSAを支援するため、ボリバルを印刷して同社に貸し付けているのだ。「ボリバルを引き出すたびにピン札が出てくる」とある市民は語る。

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「「どうせ大統領は議会を機能不全にするよ」」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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