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農薬大手シンジェンタが中国化工を選んだ理由

「チャイルショック」が欧米寡占を壊す

2016年2月9日(火)

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(写真=ロイター/アフロ)

 またもや中国企業による海外企業の巨額買収が明らかになった。中国国有の化学大手、中国化工集団は2月3日に、スイスの農薬・種子大手シンジェンタを430億ドル(約5兆1600億円)で買収すると発表した。中国企業による海外企業の買収として過去最大になる。

 世界の農薬や種子の市場は、シンジェンタのほか米バイオ化学大手モンサントや米総合化学大手ダウ・ケミカルなど欧米の「ビッグ6」による寡占状態だ。その一角であるシンジェンタはなぜ中国企業の買収を受け入れたのか。2月8日号日経ビジネスの特集「世界を揺さぶる チャイルショック リーマンより怖い現実」では、中国を震源地とする世界経済の異変をリポートした。今回の大型買収の背景にも、こうした世界経済の異変がある。

食料価格指数は4年連続で下落

 1つ目は世界的な需要の減退だ。シンジェンタには昨年、モンサントが5兆円規模の買収提案をした。しかし、シンジェンタ側がこの提案を拒否。その後、中国化工が新たに買収を提案していた。

 昨年12月には米化学大手のダウ・ケミカルと同大手デュポンが経営統合すると発表。農業分野で新会社を設立し、競争力を高める戦略を打ち出しており、世界的な農業関連企業間での再編の機運が高まっていた。

 昨年来シンジェンタがM&A(合併・買収)の対象となっていたのは、同社の業績が振るわないためだ。中国化工による買収と同じ日に発表したシンジェンタの2015年12月期決算は売上高が前の期に比べ11%減の約134億ドル(約1兆6000億円)、純利益は同17%減の約13億ドル(約1560億円)だった。

 減収減益の一因が新興国での農産物需要の減少にある。2月5日に国連食糧農業機関(FAO)が発表した2016年1月の食料価格指数は150.4と前年同月に比べ28.5ポイント低下した。安定した供給に対して、世界経済減速の影響から需要が弱まっていることが理由だ。

 シンジェンタのジョン・ラムゼイ最高経営責任者(CEO)は決算発表のリリースで「過去2年、農産物価格の下落に加え、新興国の不安定さや激しい為替変動の中で商売をしてきた」と述べている。

 こうした市場環境の中で、人口13億人を抱える巨大な中国市場の重要性は一段と高まる。しかも、中国の農業は安全性や生産性の面で改善の余地がなお大きい。中国化工による買収後もシンジェンタはスイスに本社を置く予定で、ブランドも残る。こうした条件に加え、世界経済の減速でかえって際立つ形になった中国市場の巨大さがシンジェンタを動かした可能性がある。

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「農薬大手シンジェンタが中国化工を選んだ理由」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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