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中国失速しても欧州には頼れない事情

ドイツIfo経済研究所所長ハンスウェルナー・ジン氏に聞く

2016年2月10日(水)

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 国際通貨基金(IMF)の予想では、ユーロ圏の2016年の成長率は1.7%。昨年、欧州全土を揺さぶったギリシャ債務問題を乗り越え、欧州経済はユーロ危機前の水準を回復しつつある。

 しかし、その先行きは決して明るくない。2月8日号日経ビジネスの特集「世界を揺さぶる チャイルショック リーマンより怖い現実」では、「頼れない欧州」と位置付けた。最大の理由が、欧州全土に広がる難民問題だ。昨年、欧州に流入した難民はドイツだけで100万人超。UNHCR(国連難民高等弁務官)などによると、さらに今年欧州を目指す難民は100万人規模に上る。

 急激に増加した難民によって、欧州各地の現場では混乱が広がる。長期的には労働力となり、経済にプラスの効果をもたらすとされる難民だが、国に融合させる作業は容易ではない。最大の受け入れ国ドイツでは、昨年12月末に起きたケルンでの女性暴行事件をきっかけに、難民に対する風当たりは厳しさを増している。

 政治問題から経済問題へと波及しかねない難民問題。欧州経済に与える影響を、ドイツのミュンヘンに拠点を置く公立研究機関、Ifo経済研究所のハンスウェルナー・ジン所長に聞いた。(聞き手は蛯谷敏)

プロフィール ハンスウェルナー・ジン(Hans-Werner Sinn)氏 1948年3月生まれ。72年ミュンスター大学マクロ経済学修士号取得、78年マンハイム大学マクロ経済学博士号取得。同大学マクロ経済学統計学教授などを経て、99年独Ifo経済研究所所長。ミュンヘン大学マクロ経済学・財政学部主任教授も兼務。Ifo研究所はドイツの経済政策などを担う公的研究機関で、ドイツ6大研究所の1つとされる。(写真:永川 智子、以下同)

欧州経済の状況をどう見ますか。

ジン:ドイツ国内の景気は堅調だ。南欧や米国に流出していた投資マネーが逆に国内に向かった。特に、住宅・不動産や建設セクターは活況だ。「国内コンクリートへの回帰」と私は呼んでいるが、これが建設業界を中心に幅広い雇用を生み出す原動力となっており、歴史的な低水準の失業率につながっている。この活況はしばらく続くだろう。もちろん、伝統的に強い自動車セクターも、ユーロ安の追い風で依然として堅調に推移している。

 一方で、他の欧州諸国経済は国によって多少の濃淡はあるが、深刻な状況が続いている。フランス、イタリア国内の労働コストは依然として高水準で、構造改革を遅らせた結果、景気浮揚のきっかけをつかめずにいる。製造業受注は今もリーマンショック前の水準を回復していない。スペインやポルトガルについては改善が見られるが、若年層の失業率も高水準が続いており、決して安心はできない。

中国経済失速の影響はありますか。

ジン:昨年から、輸出面ではロシアや中国経済の失速の影響は出ている。しかし、ドイツの輸出はこれらの国だけに依存しているわけではない。短期的には影響は出るだろうが、(輸出の)分散化は進んでおり、深刻な状況に陥るとは考えていない。日本の状況と似ているのではないか。私自身は悲観的な見方を持っていない。しかし、中国経済の失速によって生まれた過剰供給を吸収できるほどの需要は欧州にはない。

 むしろ、難民問題の影響によって再び欧州経済が失速しかねない事態を懸念している。昨年まで欧州はギリシャ債務問題で揺れていたが、今や難民問題がそれに代わる最大のリスクとなった。残念ながら現状は、どのEU(欧州連合)加盟国もその解決策を持ちあわせておらず、事態は悪い方向に向かいつつある。

コメント2件コメント/レビュー

難民問題が重大な課題としてドイツ,EU諸国にのしかかっていることが改めて分かった。財政支出の額で示されると重大さの程度がわかりやすい。記事にあるが,難民問題は短期的には「負債」でも長期的には「資産」になりうるという。しかし,この「資産化」には,文化的,政治・行政的,社会・経済的課題の解決が必要で,しかもそのノウハウが心もとない。この問題に向き合うためにヨーロッパが内向きになり,アメリカも内向き化すると,中国失速の影響をどこが吸収するのか心配だ。最近の動揺の震源の一つに「ドル」もあるように思う。だから「チャイル・ド・ショック」ではないだろうか。ダジャレにしても心配の種は消えないが…(2016/02/15 16:35)

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「中国失速しても欧州には頼れない事情」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

難民問題が重大な課題としてドイツ,EU諸国にのしかかっていることが改めて分かった。財政支出の額で示されると重大さの程度がわかりやすい。記事にあるが,難民問題は短期的には「負債」でも長期的には「資産」になりうるという。しかし,この「資産化」には,文化的,政治・行政的,社会・経済的課題の解決が必要で,しかもそのノウハウが心もとない。この問題に向き合うためにヨーロッパが内向きになり,アメリカも内向き化すると,中国失速の影響をどこが吸収するのか心配だ。最近の動揺の震源の一つに「ドル」もあるように思う。だから「チャイル・ド・ショック」ではないだろうか。ダジャレにしても心配の種は消えないが…(2016/02/15 16:35)

ハンスウェルナー・ジンさん、
ドイツ銀行は、一体どうなっているのですか?
今年になってドイツ銀行株価が4割下がっていますが、
自分(ドイツ)の足元を解説して頂けないでしょうか。
まさか、VWのように何かを隠蔽してはいませんよね?(2016/02/10 12:06)

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