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ブラジル、”チャイルショック”を全身で被弾

インフレ、通貨安、消費減退など経済低迷に出口なし

2016年2月11日(木)

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世界経済の牽引役として期待を一身に集めたBRICs。だが、中国の減速に伴う資源価格の下落によって、猛烈な逆風に晒されている。2月8日号日経ビジネス特集「世界を揺さぶる チャイルショック リーマンより怖い現実」では、影響が世界中に拡散していることをリポートした。その典型がブラジルだ。豊富な天然資源を有するブラジルは中国の急成長によって輸出量と資源価格の両面で多大なる恩恵を受けたが、過去の繁栄も今は昔。高インフレ、レアル安、格下げ、消費減退、マイナス成長など、ありとあらゆる災厄に見舞われている。未完の大国、ブラジルの今を追った。(ニューヨーク支局、篠原匡)

 サンパウロの玄関港として知られるサントス港――。2015年の取扱量は1億1900万トンと南米最大で、パラナ州やマトグロッソ・スル州など内陸州から運ばれる大豆の多くがここに集められる。輸出に占める一次産品の割合が高いブラジルにとって、最重要拠点といっても過言ではない。

 だが、その重要度とは裏腹に、サントス港は最も非効率な港湾に選ばれるのではないかと思うほどにインフラが貧弱だ。

荷下ろしの待ち時間は計70時間!

 2000年代半ば以降、中国向けの輸出が飛躍的に伸びたこともあって、2004年に964億ドルだったブラジルの輸出額はピーク時の2011年には2506億ドルに達した。だが、輸出の増大に港湾機能の拡張が追いつかず、多くの船舶が沖合での滞船を余儀なくされている。

 港湾地区内の動線も非効率だ。幹線道路が石畳のため、荷物を満載したトラックやトレーラーは必要以上に速度を落として走行せざるを得ない。しかも、幹線道路は貨物輸送用の線路と12カ所の踏切で交差しており、貨物列車が通るたびに車列が止まってしまう。

線路を横断するトレーラー。サントスのような巨大な港湾で、幹線道路と線路が交差するという動線は通常あり得ない
待機中の貨物列車
ターミナルでの荷下ろしを待つトラックの車列。先頭の運転手は既に2日以上待っているという

 非効率なのは貨物列車も同様で、荷積みや荷下ろしのたびに貨車を切り離してターミナルに送るため、再び貨車が帰ってくるまでに恐ろしいまでの時間がかかる。先行列車がサントス港から出てくるまで、後続列車はひたすら待機しなければならず、その待ち時間は優に40時間を超える。

 「朝6時から10時間ここにいるけど、いつ(ターミナルに)入れるか分からない」。車列の先頭にいたドライバーに声をかけるとうんざりした表情でこう述べた。ここで並ぶ前に、港湾地区の外で既に2日半待機していたという。サントス港の処理能力が、いかに限界を超えているかが分かるだろう。

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「ブラジル、”チャイルショック”を全身で被弾」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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