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林野宏氏が読み解く『トヨタ物語』(後編)

「第二次産業に第三次産業を組み入れた」凄みこそ嚆矢

2018年5月16日(水)

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 クレディセゾン社長の林野宏氏は新刊『トヨタ物語』を読んで「長年の誤解が解けた」。そしてトヨタの強さの真髄を「第二次産業に第三次産業を組み入れたこと」と見る。林野流の読み解き方を『トヨタ物語』の担当編集Sが聞く。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも4刷。日経BP社刊

前編から読む)

「トヨタの強さの本質」として本書で丁寧に描かれている「自分で考え、動く組織を作ること」は、今の時代にこそ求められているように思います。

林野:うちも一生懸命やっています。昨年9月に人事制度を変えて、正規・非正規という“身分制度”みたいなことをやめて、働く人を全員、正社員にしました。そうして、全社員が自分で考え、皆が自分の意見を持てば、いろいろな提案が出てくる。そこから生まれてくるものが、次の時代のクレディセゾンの仕事のあり方とか、新しいサービスとか、そういうものを変えていく。

上だ下だと言っている場合じゃない

 この本の309ページで、野地さんが取材中に「下請け」という言葉を使ったら、トヨタの人に怒られたという話が出てきましたね。

池渕浩介さんが「そんなことを言うのはマスコミだけだ。オレたちは絶対に言わない。あなた、下請けと言われたり書かれたりする人たちの身になってごらんよ」と。

林野宏(りんの・ひろし)
クレディセゾン社長

1942年、京都府生まれ。65年、埼玉大学文理学部卒業後、西武百貨店入社。人事部、企画室、営業企画室、マーケティング部長兼営業開発部長を経て、同百貨店宇都宮次長。1982年、西武クレジット(現・クレディセゾン)にクレジット本部営業企画部長として転籍し、2000年より現職(写真:鈴木愛子、以下同)

林野:これはすごく大事なことです。だって、部品がひとつ足りなくても自動車は動かないんだから、上だ下だと言っている場合じゃない。関わる人たち全員が、いいものをつくろうと考え、くふうする。それが大事だということが、トヨタでは共有され、徹底されてきたわけですよね。

 もうひとつ、トヨタがやったことは、第二次産業に第三次産業的な考え方、リテールを持ち込んだこと。よりよいものを作るためにカイゼンを続けながら、よいものさえつくればいいんだという考えに凝り固まることなく、販売のカイゼンにまで取り組んでいる。リテールのノウハウをメーカーに植えつけたことのすごさがしっかり描かれているというのが、この本の決め手でしょう。

 いまは昔ながらの製造業とか、そういうカテゴライズが意味をなさなくなっている。これからますますそうなるでしょう。ユニクロは自分たちで作って自分たちで売るし、トヨタもそう。

 どんな産業でも、どんな企業でも、どんな事業でも、どんな商品でも、絶えず考えて、自分で考えてカイゼンしていくという習慣をつければ、その企業は生き残るということ。そこはトヨタの取り組みが参考になる。けれど、(トヨタ生産方式を体系化した)大野耐一さんのように非常に厳しいやり方は今の時代、そのままでは難しいから、そこはもっとやさしく(笑)。

大野さんの厳しさは情熱と愛情に裏打ちされたものだと思いますが、時代に合わせたアレンジをしながら…。

林野:もっと広く言えば、学校を含めた「教育」のあり方に通じる話です。民主主義というのは国民一人ひとりが自立していることで成り立ち、その機能を果たします。自立しているということは、自分の考えを持つということです。

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野地 秩嘉

野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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