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水を究めんとする者、宇宙で水を飲む夢を見る

水の研究 矢野伸二郎さん

2017年3月21日(火)

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 ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏が、その重要性を強調した「基礎研究」。しかし、それに携わる人々は「研究所の奥で日々ひたすら研究に勤しんでいる」イメージで、実像になかなか触れる機会がありません。
 例えばメーカーの「商品開発」に関しても、脚光を浴びるのはヒットアイテムの商品化を手掛けた「商品企画」部門で、その基盤となった基礎研究にはなかなか光が届きません。
 このコラムでは、メーカーの研究所で働く「基礎研究の人々」にお話をうかがっていきます。なぜメーカーで基礎研究をすることを選んだのか、なぜその研究テーマを選んだのか、日々どんな研究生活をしているのか、手応えや悩みは? などなど、知られざる生態に迫ります。
 今回訪れたのはサントリーワールドリサーチセンター。2015年5月、京都府精華町に新しい研究開発拠点として作られた「基礎研究の館」です。

 人はいつ大人になるのか。「大人料金を支払うようになったとき」「何かしら初めての経験をしたとき」「選挙権を得たとき」・・・・・・様々な答えがあるだろうが、「将来の夢を持たなくなったとき」も、いい線を行っているのではないか。もう何者かになっていて、近頃は「将来は何になりたい?」と聞かれることも、それに答えることもなくなったとき、人はすでに大人になっている。

 しかし、1983年生まれの4児の父は「宇宙飛行士になりたんですよ、僕」という。

その雨はいつ降り、どれほど山に留まっていたのか

 ここは京都にあるサントリーワールドリサーチセンターで、声の主の現在の職業は研究者だ。ならば彼は、フラスコやビーカーに入った液体に囲まれて毎日を過ごしているのかというと、そうではない。矢野伸二郎さんは主に山で働いている。

サントリーグローバルイノベーションセンター 水科学研究所 博士(工学) 矢野伸二郎さん(人物写真:行友重治、以下同)

 「最近はちょっと回数が減りましたが、登ります。ただ、雪と台風のときは避けるようにしています。ヘルメットは必ずかぶりますし、ハチよけのごっついスプレー、アナフィラキーショックが出たときの対処に使う注射薬も、もちろん使わなくて済むのが一番いいんですけど、準備しています。でも、湧き水をみつけるとテンションが上がってしまうんですよ」

 矢野さんの専門は水の循環である。このテーマには「面白そうだから」学生の頃から向き合ってきた。

 「水は酸素と水素からできていますが、中には、色違いみたいな同位体というのがあって、それに注目すると、目の前で湧いている水はどこから来たのか、どういう降り方をしたのか、追いかけられるんです。ちょっと工夫すると、それまで見えていなかった水の流れが見えるようになる、それが面白いと感じました」

 山に降った雨は、そこに蓄えられる。蓄えられた状態で高きから低きに流れ、どこかのタイミングで地表面に湧き、川となって海へ流れ込む。その水の一部は過程の途中で採水されて、飲料に使われる。どんな経路を通ってきたかで、含まれるミネラルの量が変わり、カルシウムが多くなったり、ナトリウムが多くなったりして、それが飲料水としての個性となる。

 その水は、何年前に山に降ったものなのか、何年間くらい山に滞留していたのかは“色違い”のほか、様々な溶存成分を測れば分かる。南アルプスの天然水(2リットル)のラベルには「およそ20年以上の歳月をかけて、花崗岩の地層に磨かれ」と書かれているのは、“色違い”などを分析した結果だ。

 こうして“この水はどこを通ってきたもの”“何年前のもの”のデータを集め、分布と時間の変化を追ってつなげると、水の流れが見えてくる。では、水の流れが分かると、どんなメリットがあるのか。つまり、何の役に立つのか。

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「水を究めんとする者、宇宙で水を飲む夢を見る」の著者

片瀬 京子

片瀬 京子(かたせ・きょうこ)

フリーライター

1972年生まれ。東京都出身。98年に大学院を修了後、出版社に入社。雑誌編集部に勤務の後、2009年からフリー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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