• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?

ドイツから見えた日本の家の異常さ

2016年2月22日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 住宅街なのに通りを車がまったく走っていないのが一つ。街の入り口2カ所に大きな立体式の駐車場があり、多くの住民はそこに車を置き、歩いて家路につく。だから家の前には駐車場はなく、ベビーカーや自転車を置くスペースがあるだけだ。

住宅街の入り口に作られた立体式の駐車場。脇には車の進入を禁止する標識が立っている
家の前にあるのは駐車場ではなくベビーカー置き場

 もう一つの違和感は屋根にある。ほぼすべての住宅の屋根全面に太陽光パネルが敷かれているのだ。マイヤーさんは説明する。

「家は金融商品と一緒。投資するものでしょ」

 「駐車場のスペース確保を考えなければ、家の設計の自由度は断然大きくなる。もちろん家の近くで子供が遊んでいても危険が少ないという点も魅力よ。それに太陽光パネルを設置したおかげで、月々の光熱費よりも太陽光発電による売電収入の方が大きいのよ」

 カーポートフリーと太陽光パネル。どちらもエコロジカルな生活を追求するのが主目的のように映るが、マイヤーさんの狙いはそれだけではない。「家は資産。金融商品と一緒。住み心地という質の追求と同時に、将来の価値を考えて投資するのは当たり前のことでしょ」。実際のところ、マイヤーさんの家の単価は今、16年前の購入時の2.5~3倍に上昇している。

自宅の屋根に設置した太陽光パネルを示しながら資産価値について説明するマイヤーさん

 ボーバン地区がユニークなのは、家の資産価値を高めるために、住民主体で街づくりを進めてきた点にある。住民らでつくる協同組合がデベロッパーよりも優先的に土地を取得。居住エリアごとに建築グループを作り、議論を交わしながら家や街の設計を固めていった。エリア内への車の乗り入れ禁止などはこうした議論の中から生まれた。

 現在、協同組合の代表を務めているのがデレスケさんだ。地下にコジェネレーションの発電機を設置することで、エネルギー消費量を大きく抑えることができる「パッシブハウス」に住んでいる。デレスケさんは「家づくりや街づくりの話し合いのために多くの時間を費やしたが、まったく後悔はない。こんな素晴らしい環境と資産を手に入れることができたのだからね」と胸を張る。

 ボーバン地区は先進的なモデルケースだが、前提となる「家は資産」という考え方はドイツ全土に浸透している。

 「我々は家を長く利用することについて、とても良い経験と伝統を持っていると思います。建築当時の寛容な雰囲気をそのまま漂わせている街のたたずまいに、そこに住む人々が強い愛着を持っていますよ」

コメント96件コメント/レビュー

いろいろと意見はありますが、大きく分けると、①日本の気候の影響(高温多湿+地震で劣化が早い)と②古い家をスクラップ&ビルドする文化(新築を良しとする価値観)が現状を招いているということかと思います。
どちらも正しいですが、一点だけ気になるのは、わが国に於ける住宅の価格です。土地価格が高いのはまだしも、20年で取り壊しを想定している割に何故住宅本体(戸建)がこれほど高価か、です。価格に見合う品質が確保されていないのか、或いは「どうせ数十年で取り壊す」想定のもと、低品質の製品で客がぼられているだけなのか。それとも人件費の高騰を吸収させるために高価を払わされているだけなのか。今後の記事で究明していって欲しいなと思いました。(2017/03/20 11:18)

「家の寿命は20年 消えた500兆円のワケ」のバックナンバー

一覧

「Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

いろいろと意見はありますが、大きく分けると、①日本の気候の影響(高温多湿+地震で劣化が早い)と②古い家をスクラップ&ビルドする文化(新築を良しとする価値観)が現状を招いているということかと思います。
どちらも正しいですが、一点だけ気になるのは、わが国に於ける住宅の価格です。土地価格が高いのはまだしも、20年で取り壊しを想定している割に何故住宅本体(戸建)がこれほど高価か、です。価格に見合う品質が確保されていないのか、或いは「どうせ数十年で取り壊す」想定のもと、低品質の製品で客がぼられているだけなのか。それとも人件費の高騰を吸収させるために高価を払わされているだけなのか。今後の記事で究明していって欲しいなと思いました。(2017/03/20 11:18)

20年で建て替えるのは不経済といえばそうかもしれない。

でも高度経済成長期に建てられた家は、
間取りや水回りの手直しが必要だし、窓が小さい屋根が低いしで
正直住みにくい。

日本は気候も高温多湿だし、地震もあるし、
そもそも江戸時代までは木と紙で家を作ってきているわけだし、

人も核家族化から一人暮らしの人が増えて大きな家は不要だし、

家が資産価値を持ち続けるのは、上記のような環境がないことが前提じゃないかな?(2017/03/19 12:33)

そう・・・不思議なのは、ほかのことに関しては異常なまでに同調圧力に屈する日本人が
なぜか不動産が絡むと強気な自分勝手キャラになりきれる!ということ。

だれもがうれしい住み心地の街にするためには、家の形や色、材質、その他、建てかたの
細部に至るまでかなりの制約を地域全体が受け入れていかなければならない。自由主義
経済の権化みたいなイメージがあるマンハッタンですら、「後出しじゃんけん」みたいな
ビルの建てかたは決して許されないらしい。ところがニッポンでは同じデベロッパが
自社のマンションの南に大きな物件を後から建てたりする。

資産でない消費財に大枚はたくことはもちろん、多くの点で、ニッポン人は不動産が
からむと正気を失い人が変わる。私にはそんなふうに思えるのだ。それがなぜなのか、
そのことが探求される必要があるように私には思える。(2017/03/18 20:17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長