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Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?

ドイツから見えた日本の家の異常さ

2016年2月22日(月)

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故郷の街並みをこよなく愛するエック・バイエルン州内務大臣 ©Bayerisches Staatsministerium des Innern, für Bau und Verkehr

 ドイツ最大のバイエルン州で内務大臣を務めるゲアハルト・エック議員はこう説明する。

 ドイツでは不動産市場のうち7割以上を中古住宅が占めている。十数%台にとどまる日本とは対照的だ。第二次世界大戦前の建物が今も住まいとして使われている。それどころか、天井までの高さが3m50cm以上の広々とした部屋の構造を採用した築50年超の物件が多いことから、戦前に建てられた住宅が、新築より高値で取り引きされているケースも少なくない。こうした日本とドイツの不動産市場の違いは建築物の構造問題に加え、土地政策に依るところが大きい。

住民も自由に家を建てられない!?

 ドイツは、自治体ごとに20年先までの大まかな土地利用計画「Fプラン」を策定することが義務付けられている。その上で、住宅や産業、交通など土地の用途ごとの詳細な建設計画を「Bプラン」として練り上げる。将来の人口動態などの予測を踏まえ、行政だけでなく、建設・建築業者や住民などの利害関係者が参加してプランを決めるのが特徴的だ。

 商業地域や工業地域でも家を建てることができる緩やかな日本の土地区分制度と異なり、「Fプラン」と「Bプラン」の拘束力は強い。

 ドイツの住宅事情に詳しいジャーナリストの村上敦氏は「たとえ地価が上がってもプランに記載されていなければ、住宅建設のための土地売買はできないことになっている。厳格に運用されるため、家の価値がきっちりと保証されることになる」と指摘する。

 住民だけではない。行政や建設・建築業者もプランの内容に縛られるため、無計画に住宅地が広がることはない。この10年間の新築着工件数は年15万~25万戸。総住宅数は総世帯数とほぼ同水準の4000万戸超で推移している。需給がバランスしているため、最低でもインフレ上昇分は自動的に家の資産価値が高まるメカニズムになっている。

 翻って日本。新築住宅に関する制約がないため、不動産会社や建設会社は収益力が高く、投資回収が確実な新築ばかりを作り続けている。「20年で家の価値ゼロ」との慣習が幅を利かしているため、スクラップ&ビルドのサイクルが早く、それでも一定の新築供給量は消費されてきた。

 だが、総務省の調査では、2013年の総住宅数は6063万戸に上っている。すでに総世帯数の5245万戸を大幅に上回っているのにも関わらず、今でも年90万戸の住宅が新たに作られている。その結果、500兆円もの巨大資産が消失することになったのだ。

エネルギー問題から住宅政策を大転換

 ドイツが取り組んでいるのは、新築抑制だけではない。2000年前後から中古住宅の流通活性化にも力を入れ始めた。背景にあったのは、エネルギー政策の転換だった。エネルギー資源の9割を輸入に頼っていたドイツにとって自立は重要課題。将来的に原子力発電所をゼロにする目標を掲げる一方、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入を積極的に推進。同時に、エネルギー消費全体の4割を占める住宅の省エネ化に本腰を入れることになった。

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「家の寿命は20年 消えた500兆円のワケ」のバックナンバー

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「Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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