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Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?

ドイツから見えた日本の家の異常さ

2016年2月22日(月)

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 「すでに建てられている家を取り壊して新たに建てるより、省エネ設備を入れるための改修・補修をすることで、コストを節約できる」(エック内務大臣)。こうした狙いから、ドイツでは新築向けに出していた補助金を廃止。その代わりとして、中古の改修・補修向けに手厚い補助金を付けることにした。住宅政策の大転換がうまく機能した陰には、EUで義務化された「エネルギー・パス」と呼ばれる住宅の省エネ評価制度の存在があった。

 同制度では、寒暖を防ぐ三重構造の窓ガラスなど家の改修によって生まれた省エネ効果を点数化。評価は不動産広告への記載が義務付けられている。点数の高低は家の資産価値に直結するため、住民らがこぞって中古住宅のリフォームに乗り出すことになったのだ。その結果、多くの建設会社や工務店がリフォーム・リノベーションへと業態を変えることになった。

ドイツ南西部の工務店で働く従業員ら。「最近は大半の仕事が中古リフォーム関連に変わった」と打ち明ける

 中古住宅を正当に評価する制度は日本にない。日本でのエネルギー・パス導入を呼びかけている日本エネルギー機関代表の中谷哲郎氏は「評価されないから、省エネ目的の改修・補修という形で中古住宅に投資するインセンティブが働きにくい。建物の価値を評価せず、中古向けにお金を出し渋る金融機関のスタンスにも問題がある」と訴える。

中古重視で示した実利

 ドイツでは当初、中古重視への住宅政策の転換に不動産・建設業界が反発した。が、その動きはすぐに鎮静化した。「中古に厚い補助金制度が意味のある経済政策だと認知された」(ジャーナリストの村上氏)点が大きかったとみられている。  

 村上氏によると、ドイツは2011年までの6年間で改修・補修関連の補助金として68億ユーロを支出。それに対し、消費税に当たる付加価値税として支出額の2倍以上の144億ユーロがリフォーム絡みで国に戻ってきた計算になるという。さらに大きな経済波及効果が不動産・建設業界に及ぶことになった。いわばドイツは実利を示すことで政策誘導に成功したのだ。

 「20年で価値ゼロ」との慣例によって、「資産」が資産にならない奇妙な国ニッポン。新築で家を買うということは極言すれば、大金を払ってわざわざ「借金」を背負っているようなもの。“Why Japanese people!”とドイツ人が指摘するところの真意に目を向ければ、我々を取り巻くまやかしの正体がおのずから見えてくる。

残念ながら子供の代まで資産として残すことができる家は日本には少ない

コメント96件コメント/レビュー

いろいろと意見はありますが、大きく分けると、①日本の気候の影響(高温多湿+地震で劣化が早い)と②古い家をスクラップ&ビルドする文化(新築を良しとする価値観)が現状を招いているということかと思います。
どちらも正しいですが、一点だけ気になるのは、わが国に於ける住宅の価格です。土地価格が高いのはまだしも、20年で取り壊しを想定している割に何故住宅本体(戸建)がこれほど高価か、です。価格に見合う品質が確保されていないのか、或いは「どうせ数十年で取り壊す」想定のもと、低品質の製品で客がぼられているだけなのか。それとも人件費の高騰を吸収させるために高価を払わされているだけなのか。今後の記事で究明していって欲しいなと思いました。(2017/03/20 11:18)

「家の寿命は20年 消えた500兆円のワケ」のバックナンバー

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「Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

いろいろと意見はありますが、大きく分けると、①日本の気候の影響(高温多湿+地震で劣化が早い)と②古い家をスクラップ&ビルドする文化(新築を良しとする価値観)が現状を招いているということかと思います。
どちらも正しいですが、一点だけ気になるのは、わが国に於ける住宅の価格です。土地価格が高いのはまだしも、20年で取り壊しを想定している割に何故住宅本体(戸建)がこれほど高価か、です。価格に見合う品質が確保されていないのか、或いは「どうせ数十年で取り壊す」想定のもと、低品質の製品で客がぼられているだけなのか。それとも人件費の高騰を吸収させるために高価を払わされているだけなのか。今後の記事で究明していって欲しいなと思いました。(2017/03/20 11:18)

20年で建て替えるのは不経済といえばそうかもしれない。

でも高度経済成長期に建てられた家は、
間取りや水回りの手直しが必要だし、窓が小さい屋根が低いしで
正直住みにくい。

日本は気候も高温多湿だし、地震もあるし、
そもそも江戸時代までは木と紙で家を作ってきているわけだし、

人も核家族化から一人暮らしの人が増えて大きな家は不要だし、

家が資産価値を持ち続けるのは、上記のような環境がないことが前提じゃないかな?(2017/03/19 12:33)

そう・・・不思議なのは、ほかのことに関しては異常なまでに同調圧力に屈する日本人が
なぜか不動産が絡むと強気な自分勝手キャラになりきれる!ということ。

だれもがうれしい住み心地の街にするためには、家の形や色、材質、その他、建てかたの
細部に至るまでかなりの制約を地域全体が受け入れていかなければならない。自由主義
経済の権化みたいなイメージがあるマンハッタンですら、「後出しじゃんけん」みたいな
ビルの建てかたは決して許されないらしい。ところがニッポンでは同じデベロッパが
自社のマンションの南に大きな物件を後から建てたりする。

資産でない消費財に大枚はたくことはもちろん、多くの点で、ニッポン人は不動産が
からむと正気を失い人が変わる。私にはそんなふうに思えるのだ。それがなぜなのか、
そのことが探求される必要があるように私には思える。(2017/03/18 20:17)

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井上 礼之 ダイキン工業会長