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日本型「正社員」改革こそが本丸だ

専門化うながす「業務の標準化」

2017年4月21日(金)

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日本企業が求める「白地のキャンバス」

 長年の懸案だった労働問題の課題に、本腰を入れて取り組む姿勢を示したのは評価に値する。だが、今回の実行計画だけで十分なのかといえば、そうではない。日本型の「正社員」雇用に、ほとんどメスが入っていないからだ。

 「正社員」という言葉が示しているように、新卒者を一括で採用し、後は企業の裁量で仕事をあてがう方法こそが、「正しい」採用形態だという観念が根付いている。正社員としていったんその会社に入れば、めったなことではクビにならない。仮に初めに配属された部署がなくなっても、他の部署に移動するだけ。定年まで雇用が守られるという暗黙の了解が存在する。

 また、配属部署についての専門知識がまったくなくても、企業はオン・ザ・ジョブで一から仕事を教えてくれる。入社前に中途半端な専門知識を持っているより、どんなカラーにでも染められる「白地のキャンバス」の方が企業にとってはありがたい、というのが長年の日本企業のスタンスだった。つまり、日本型雇用の特色とされる「終身雇用」「年功序列」と「正社員」はセットで成り立っていたと言える。

 だが、今の若者世代は「終身雇用」を信じていない。バブル崩壊以降、会社が潰れたり、リストラされたりして苦労した親をみて育ってきた世代だ。会社に入る時こそ、「この会社で定年まで働きたいと思います」と発言するが、それは入社を許されるための方便だ。大半の若者は、いずれ転職したり、自分で起業したりすることを考えている。そんな若者が増えているだけに、突然、想定もしていなかった職場への配属に、面食らうわけだ。

 安定的な雇用をある意味保証している「正社員」制度は、労働者にとってよい制度だというのが、政府や労働組合の発想である。非正規雇用を問題視し、正社員化を促すというのも、それに裏打ちされている。だが、本当に「正社員」は働き手にとって素晴らしい制度なのだろうか。

 よく考えてみれば、辞令一枚でどこへでも社員を異動させることができる仕組みは、会社にとっては好都合だ。人材採用が難しい地域で支店の職員を雇うよりも、大都市圏で採用した正社員を転勤させる方が簡単だ。一方で、辞令一枚で日本国内はおろか、世界中に転勤させられる社員の生活には、大きなしわ寄せがくる。とくに最近は夫婦共働き世帯が増え、転勤となると単身赴任せざるを得ない例も多い。生活を犠牲にせざるを得ないわけだ。

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「日本型「正社員」改革こそが本丸だ」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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