• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

米ロとサウジが主導する石油の新世界秩序

トランプ大統領は石油市場にどんな影響を与えるか

2017年3月2日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 石油をめぐる内外の状況が大きく変化している。

 原油価格が1バレル当たり50ドルに暴落して2年が経過、国際石油市場では、需給環境の変化に対応した新しい秩序が生まれようとしている。

 2016年末から2017年初めにかけて、石油情勢に大きく影響を与える出来事が2つあった。一つは、エネルギー大国を目指すトランプ米大統領の誕生であり、もう一つは、サウジアラビアが主導するOPECとロシアが主導する非OPEC加盟国による原油の協調減産の実施である。

 国際石油市場は、世界の石油生産のトップ3でもある、米国、ロシア、サウジの3か国が主導するとともに、需給調整を分担する新しい時代が始まったと言える。

 初回の今回は、新しい国際石油市場の需給調整と価格形成について、説明したい。

石油相場は今、米国・ロシア・サウジアラビアの三大産油国が主導する時代に突入した(写真:Paul Edmondson/Mint Images/amanaimages)

 2000年代半ばから後半、原油価格は高騰を続け、2008年夏には1バレル当たり150ドルに近づいた。2008年9月のリーマンショック後一時暴落したものの、「アラブの春」もあって、2011年からは100ドルを超える水準で推移し、生産コストが高い、深海底の石油開発やオイルサンド等の非在来型石油の開発が進んだ。

原油価格の暴落

 その中で、水平掘削や水圧破砕等の技術革新もあって、新しいタイプ(非在来型)の石油である「シェールオイル」の生産が本格化した。シェールオイルとは、地中2000~4000メートルの深いシェール(頁岩)層に封じ込まれている軽質油を回収したもので、従来コスト的に商業生産は難しいとされてきたものである。米国では2010年頃から年率で日量100万バレルずつ生産が増加し、2014年には日量1200万バレルとロシアとサウジを抜いて世界一の原油生産国となった。

 また、2008年9月のリーマンショック後、新興国の経済成長は鈍化、欧州も経済危機に見舞われ、世界的に石油需要の伸びは、2000年代に比して鈍化した。こうした状況から、100ドル前後の水準で推移していた原油価格は、2014年夏ごろから低下を始めた。

 こうした国際石油市場の需給緩和、供給過剰状態による原油価格の低下を決定的にしたのが、2014年11月のOPEC総会におけるシェア戦略の発動、減産決議の見送りであった。従来、OPECは、価格維持の観点から、世界の原油需給を調整する役割を担ってきた。すなわち、OPECは、需給ギャップの穴埋めを引き受け、供給過剰になれば、減産を行うのがこれまでの通例であった。

原油価格の推移(2014年1月~2017年2月)
出所:NYMEXデータ等より作成

 しかし、この時のOPEC総会では、減産決議を行うとの市場予想に反し、原油価格を維持しても、シェールオイル等に市場シェアを奪われるだけであるとして、従来の生産目標日量3000万バレルを維持し、事実上加盟各国の自由な増産を認めた。同時に、この措置は、生産コストの高いシェールオイルに対して、生産コストの安い中東等のOPEC原油が、価格戦争を挑んだものであると理解された。

コメント1件コメント/レビュー

エネルギー問題が話題になる時、いつも思う事だが、日本政府には「エネルギー安全保障」を心底理解していると言えない。エネルギー源のほとんどを国外に依存する状態ほどエネルギー安全保障においてリスクの高いことはない。「国外依存を減らすべきだ!」と言うと、外国の石油採掘権を手に入れれば解決法になると考えている。例えば中国が南シナ海を我がものとして石油タンカーの通行料を払え、と言って来たらどうする。遠回りしてコストが上がることで凌ぐか、それとも通行料を払うか。そう言った「万一」を考えていない。日本には世界有数のエネルギー源である豊富な地熱資源があるのだから、電力を100%地熱で賄う位の地熱利用を目指すべきだ。開発費には金がかかるが、政府が補助することで商売としても旨味のある事業に出来る。十分な蒸気溜まりがなくても高温岩体発電などの新技術を駆使すれば全電力を賄っても余りあるほどの電力を供給できるのだ。衰退気味の温泉よりも環境保護よりもはるかに優先度が高いのがエネルギー安全保障なのだと言う理解が完全に欠落している。米露中を中心とした大国が横暴とも思える様な行いをしてでも確保するのがエネルギー資源だと言うことは世界中の軍事衝突を見れば明らかではないか。日本は軍事大国となって力でエネルギー源を確保する道は選択出来ないのだから、国内でエネルギーを調達することが一番なのだ。石油天然ガスはOPECや大国の思惑で上がったり下がったりするが、それに振り回される程度を引き下げるのが日本政府に与えられている役目だ。地熱は開発費こそ金がかかるが、一旦できればランニングコストは極めて低く、水力発電並み。ガソリン車の3割を電気自動車に切り替えれば、「燃油需要」が「電力需要」に切り替わる。こうして日本の温室効果ガス削減も進むし、エネルギー安全保障の観点からも安全性や独立性はぐっと高まる。金融緩和で金が唸っている今の内に大規模地熱発電開発に着手すべきだ。(2017/03/02 10:26)

「石油「新三国志」」のバックナンバー

一覧

「米ロとサウジが主導する石油の新世界秩序」の著者

橋爪 吉博

橋爪 吉博(はしづめ・よしひろ)

一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター調査役

一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター調査役。三重県津市出身。中央大学法学部卒。1982年石油連盟入局。1988年外務省出向(在サウジアラビア大使館二等書記官)。1991年石油連盟復帰、流通課長、企画課長、広報室長等を経て、2016年5月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

エネルギー問題が話題になる時、いつも思う事だが、日本政府には「エネルギー安全保障」を心底理解していると言えない。エネルギー源のほとんどを国外に依存する状態ほどエネルギー安全保障においてリスクの高いことはない。「国外依存を減らすべきだ!」と言うと、外国の石油採掘権を手に入れれば解決法になると考えている。例えば中国が南シナ海を我がものとして石油タンカーの通行料を払え、と言って来たらどうする。遠回りしてコストが上がることで凌ぐか、それとも通行料を払うか。そう言った「万一」を考えていない。日本には世界有数のエネルギー源である豊富な地熱資源があるのだから、電力を100%地熱で賄う位の地熱利用を目指すべきだ。開発費には金がかかるが、政府が補助することで商売としても旨味のある事業に出来る。十分な蒸気溜まりがなくても高温岩体発電などの新技術を駆使すれば全電力を賄っても余りあるほどの電力を供給できるのだ。衰退気味の温泉よりも環境保護よりもはるかに優先度が高いのがエネルギー安全保障なのだと言う理解が完全に欠落している。米露中を中心とした大国が横暴とも思える様な行いをしてでも確保するのがエネルギー資源だと言うことは世界中の軍事衝突を見れば明らかではないか。日本は軍事大国となって力でエネルギー源を確保する道は選択出来ないのだから、国内でエネルギーを調達することが一番なのだ。石油天然ガスはOPECや大国の思惑で上がったり下がったりするが、それに振り回される程度を引き下げるのが日本政府に与えられている役目だ。地熱は開発費こそ金がかかるが、一旦できればランニングコストは極めて低く、水力発電並み。ガソリン車の3割を電気自動車に切り替えれば、「燃油需要」が「電力需要」に切り替わる。こうして日本の温室効果ガス削減も進むし、エネルギー安全保障の観点からも安全性や独立性はぐっと高まる。金融緩和で金が唸っている今の内に大規模地熱発電開発に着手すべきだ。(2017/03/02 10:26)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授