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米ロとサウジが主導する石油の新世界秩序

トランプ大統領は石油市場にどんな影響を与えるか

2017年3月2日(木)

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 そのため、2014年秋には80ドル水準の原油価格は、2015年年明けには50ドルを切る水準まで暴落した。2015年夏には、60~70ドル水準まで回復したものの、その後も50ドル前後で低迷し、サウジの対イラン国交断絶による両国関係悪化にもかかわらず、対イラン経済制裁解除決定による原油輸出増加予想を受けて、2016年1月と2月には、30ドル割れを経験した。

減産合意への道

 シェア戦略の標的とされたシェールオイルであるが、原油価格の変動リスクに備えて、先物取引で長期(2年分)で収益を確定させるリスクヘッジが取られていた。また、油井の生産効率化などによって生産コストを低下させたことから、原油価格低下に予想以上の耐性を示した。それでも、2015年5月をピークとして生産量は低下を始めた。

 他方、産油国側でも、原油輸出収入の激減で、財政難に陥る国が増えてきた。特に、サウジは、財政が均衡するために必要な原油価格は95ドル(IMF=国際通貨基金調べ)と見られ、年間1000億ドルに上る財政赤字を計上、175億ドルに上る初の外債を発行(2016年10月)するとともに、補助金や公務員給与の削減等を措置した。同様に、資源輸出に財政を依存するロシアも、国債価格が最低を記録、ルーブルの為替レートも暴落した。ベネズエラは、財政難からデフォルトに直面した。

 そのため、2016年に入って、ロシア等のOPEC非加盟の産油国を含めて、減産ないし生産量の凍結を模索する動きが活発化してきた。当初、核合意履行による経済制裁解除で原油増産を目指すイランと地域大国としてライバル関係(宗派問題を含め)にあるサウジの対立激化のため、合意形成は難航したが、9月28日のOPEC臨時総会において、次回総会で減産を目指す旨の「アルジェ協定」が合意された。

最近の原油需給の状況
原油需給の状況(IEA石油市場報告2017年2月号等より作成)
注:単位は百万BD。( )内は供給計に対するシェア(%)。OPECのNGL生産は非OPEC生産として計上。

協調減産の実施

 その後、11月30日のOPEC定例総会において、アルジェ協定に基づき、日量3250万バレルの生産上限(10月実績比日量120万バレル減産)が決議され、8年ぶりに減産が合意された。さらに、12月10日には、ロシア、アゼルバイジャン、メキシコ、オマーン等のOPEC非加盟11カ国を含む主要産油国会議が、ウイーンのOPEC本部で開催され、非OPEC11カ国による日量55.8万バレルの協調減産が合意された。OPECと非OPECの協調減産は15年振りである。

 今回の協調減産は、各国の生産割当枠ないし減産量が明記され、閣僚級の市場監視委員会も設置された近年例を見ない厳格な決議内容となっており、しかも、多くの産油国が待望し、強固な政治的意思が反映したものである。したがって、合意は相当厳格に順守されるものと見て良い。

 また、サウジは、OPEC内でイランの将来の増産余地を認め、自国の大幅減産で譲歩する形でイランと妥協を図ったうえで、ロシアが主導する非OPEC主要産油国と提携し、協調減産を目指した。従来のOPECあるいはサウジ単独による需給調整ではなく、「拡大OPEC」ないし「主要産油国連合」による需給調整を意図した新しい枠組みを提起した。「サウジ・ロシア石油枢軸」の成立といえるかも知れない。

 IEAの石油市場報告2月号によれば、OPECの1月原油生産量は日量3206バレルと生産上限を下回り、減産対象の11カ国では90%の減産達成率を実現しているなど、比較的順調に減産が履行されており、2017年下期には需給が均衡するものと見られている。

 確かに、非OPECの減産は、日量約30万バレルと遅れており、特に、55.8万バレルのうち30万バレルの減産を受け持つロシアは、1月時点で10万バレル減産にとどまっている。これは生産原油の品質上、早期減産は難しいとして、合意時点で達成には時間を要する旨を留保していたことから、想定の範囲内と言えよう。

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「米ロとサウジが主導する石油の新世界秩序」の著者

橋爪 吉博

橋爪 吉博(はしづめ・よしひろ)

一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター調査役

一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター調査役。三重県津市出身。中央大学法学部卒。1982年石油連盟入局。1988年外務省出向(在サウジアラビア大使館二等書記官)。1991年石油連盟復帰、流通課長、企画課長、広報室長等を経て、2016年5月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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