石油で潤い、石油に呪われたベネズエラ

無資源国である日本の国民は不運なのだろうか?

  • 橋爪 吉博
  • 2017年08月31日
2013年からベネズエラの大統領を務めるニコラス・マドゥーロ氏。大統領独裁色の強い憲法改正を強行しようとしている(写真:ZUMA Press/amanaimages)

 世界最大の石油埋蔵国であるベネズエラが大変なことになっている。

 ベネズエラでは、原油価格の低迷とバラマキ財政のツケで、財政赤字が急速に拡大。年間1000%近いインフレが進行し、国民生活は破たん寸前にある。こうした状況を打開するため、8月18日、マドゥ-ロ大統領は、野党多数の議会の立法権を停止し、7月30日に投票が行われた、与党議員だけで構成される改憲議会で大統領独裁色の強い憲法改正を強行しようとしている。

 こうした独裁姿勢、人権無視に対して、米国は当初、マドゥーロ大統領の個人資産凍結等の限定的な経済制裁を実施したが、8月25日には、石油取引自体には及ばないものの、政府や国営企業の金融取引の制限を含む経済制裁を発表した。トランプ大統領は、さらに踏み込んで、武力行使の可能性も示唆した。

 今回は石油大国であるベネズエラが、どうしてこんな状況に陥ったか。その要因を考えてみたい。

ベネズエラの歴史

 ベネズエラは、スペインとの独立戦争を経て、1811年独立した。同国の正式国名は「ベネズエラ・ボリバル共和国」と独立の英雄、ラテンアメリカの指導者であるシモン・ボリバルの名が冠されている。1958年に、民主制を確立。それ以降は、選挙による大統領選出、二大政党による政権交代が行われ、概ね、米国とも協調的な関係を維持してきた。

 1960年のOPEC(石油輸出国機構)創設にあたっては、当時のアルフォンソ石油相とサウジアラビアのヤマニ石油相が指導的役割を果たし、サウジ、クウェート、イラン、イラクとともに、ベネズエラが創設メンバーとなった。その後、70年代に2度の石油危機を経て、地域大国として経済的にも発展した。

続きを読む ※日経IDログインが必要な場合があります