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中部電と大ガスが狙う“全国掌握”

首都圏販売子会社設立にみるアライアンス絵巻

  • 山根 小雪=日経エネルギーNext

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2018年3月7日(水)

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 かねて蜜月と言われてきた中部電力と大阪ガスが、ついに表舞台で手を組んだ。両社は2月27日、首都圏における電力・ガス販売を目的とする子会社を折半出資で設立すると発表した。

新会社設立を発表した中部電力・勝野社長(左)と大阪ガス・本荘社長(右)

 新会社の名前は、CDエナジーダイレクト(東京都中央区)。4月の設立後、小売電気事業者やガス小売事業者などのライセンスを申請・取得後、首都圏の法人や家庭にサービスの提供を始める。夏頃にはメニューや料金を明らかにするという。

 数ある大手電力・ガス会社の中でも、親しい関係にある両社。新会社設立会見の席上で、中部電の勝野哲社長は、「(大ガスとは)三重・滋賀ラインやフリーポートを共同展開してきた。さらなる協業の可能性について協議を重ねてきた」と明かした。

 三重・滋賀ラインとは、中部電・四日市火力発電所と大ガス・多賀ガバナステーションを結ぶ約60kmの天然ガスパイプラインのこと。2004年に建設で両社が合意し、2014年に完成した。今、中部電と大ガスは、相互に天然ガス供給を受けることができる状況にある。大手電力・ガス間でパイプラインを結んだ初めての事例だ。このプランを構想した当時は、「両社の社内外に驚きが走った」(関係者)。

 2014年には、「フリーポートLNGプロジェクト」に共同で参画すると発表。米テキサス州のLNGの液化設備に共同出資し、北米の天然ガスを液化して日本などへ販売しようというプロジェクトだ。

 地域独占と総括原価方式に守られてきた東日本大震災前のエネルギー業界で、大手同士のアライアンスは非常に珍しいことだった。震災後に業界再編の口火を切ったのが、中部電と東京電力フュエル&パワー(F&P)による燃料・発電事業会社、JERA(東京都中央区)の設立である。

 世界最大規模のLNG調達量を誇るJERAが誕生したことで、エネルギー業界にタブーはなくなった。電力・ガス全面自由化を経て競争が厳しさを増すと、大手電力・ガス各社の首脳陣はアライアンスの調整に奔走し始める。だが、三重・滋賀ラインもフリーポートも、それ以前から進めていた話だ。

 だからこそ、「大ガスはJERAに参画するのでは」と長らくささやかれてきた。早くから海外事業に注力し、中部電と親しかった大ガスが、そう言われるのは当然だっただろう。しかし、現時点でも実現はしていない。

 大ガスの事業規模は、東電F&Pや中部電と比べて劣る。「両社が折半出資するJERAに参画すると、大ガスはマイナーな存在になってしまう。参画は難しかった」(関係者)。中部電と大ガスがアライアンスを模索する中で、まずはやってみようと結実したのが今回の首都圏販売だった。

 だが、これですべてではなさそうだ。会見の席上で、大ガスの本荘武宏社長は、「(中部電とのアライアンスの拡大に関して)将来の可能性は排除しない」と発言した。「非常に手堅い本荘社長にとっては、かなり踏み込んだ発言。両社のアライアンスは首都圏販売では終わらないのではないか」。あるエネルギー業界関係者は本荘発言をこう読む。

東名阪に基盤を持つ初めての会社

 いまや大半の大手電力が首都圏に電力販売で進出している。だが、各社とも販売電力量は決して多くない。中部電と大ガスの新会社は、単なる首都圏進出にとどまらない可能性を秘めている。

 ある大手電力会社幹部は、こうつぶやいた。「東名阪の三極に電力とガスの顧客基盤を持ったエネルギー会社が誕生する。ついに日本に全国規模のエネルギー会社ができた」。

 関西の大ガスと名古屋の中部電。新会社は首都圏が主戦場だ。大手電力・ガス各社のアライアンスは数あれど、東名阪をカバーするアライアンスはこれまで存在しなかった。「独占禁止法の問題もあり、大手電力同士の販売会社設立は難しい。全国展開を狙う東京電力エナジーパートナー(EP)は大ガスを中部電に取られてしまい、相当悔しがっている」(関係者)。

 大ガスが悲願とも言える首都圏進出を果たすに当たり、東電EPとのアライアンスを考えなかったはずはない。だが、「東電EPがニチガス(日本ガス)と提携した時点で、大ガスにとって東電という選択肢はなくなった」(関係者)。多くの都市ガス事業者とLP(液化石油ガス)最大手のニチガスは因縁の関係にあるためだ。

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