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「電力ベンチャー四天王」の栄枯盛衰が語るもの

エネルギーベンチャーの歴史に学ぶ

  • 高橋 浩明=野村リサーチ・アンド・アドバイザリー調査部主任研究員

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[2/4ページ]

2018年6月14日(木)

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ファーストエスコ創業者の筒見氏の熱い思い

 電力ベンチャー四天王の中でも、とりわけファーストエスコの筒見社長(当時)は印象深い存在だ。「地球規模の社会課題の解決に長期視点で挑戦するベンチャー」を率いる経営者として注目された。

 創業者の筒見憲三氏は、日本総合研究所の主任研究員だったが、1995年の米国での電力産業調査をきっかけに、日本初のESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)を設立することを決意した。

 ファーストエスコ設立の経過もユニークだ。日本総研が手がける省エネ業界研究のコンソーシアムの参加企業を母体にベンチャーを設立したのである。京都議定書が採択された1997年の5月のことだ。筒見氏は、コンソーシアムのプロジェクトリーダーから、ベンチャーの創業者へと転身した。

 筒見氏の創業への思いは、「新しいタイプの電力会社を作る」という熱意に尽きる。単なる省エネコンサルティング会社や機器販売会社ではなく、新しいスキルやスキームを生かしたエネルギーの総合サービス提供企業を目指していた。

 例えば、ファーストエスコが資金調達機能を担い、顧客の初期投資負担をなくした新タイプのESCOに取り組んだ。

 ESCOとはEnergy Service Companyの略で、省エネ機器の導入などによる電気料金の削減実績などからサービス対価を得るビジネスモデルのことを言う。それまでのESCOは省エネ機器の導入にかかる初期投資を一定額、顧客が負担していたが、ファーストエスコがESCO事業者として設備投資と資金調達をすべて代行することで、ESCO利用のハードルを下げることに成功した。

 例えば、省エネ型の照明機器やボイラーとコージェネレーションシステム(熱電併給型の自家発電機)の導入を、大手メーカーの工場などへ提案した。エネルギーコストの削減分から初期費用を回収し、さらに顧客とファーストエスコで利益を分け合うモデルである。

 さらに、ESCO事業の開始前に、あらかじめエネルギーコストの削減額を保証することで、顧客の安心感を高めた。ESCO事業の中立性を担保するため、導入する省エネ機器は、特定のメーカーを選択するのではなく、どこのメーカーの商品でも取り扱った。

 こうしたきめ細やかな事業が評価され、大手メーカー向けのESCO事業では2000年代前半に30件以上の実績を挙げ、業界トップの地位を確立した。

 「新しいタイプの電力会社」を目指す筒美社長は、需要サイドへのサービス提供だけに留まらなかった。環境価値を生み出すバイオマス発電と、発電事業者と需要家を結び付ける電力小売りにも進出した。固定価格買取制度によって、再エネ発電事業のリスクが低減された今とは全くことなる事業環境のなか、バイオマス発電に取り組んだのである。

 こうしてファーストエスコは2005年3月、東証マザーズ市場でIPOを果たした。

「電力ベンチャー四天王」への逆風

 順風満帆かに見えたエネルギーベンチャーだったが、ファーストエスコがIPOした2000年代半ば以降、原油価格の乱高下などの逆風が吹き荒れた。大手電力がESCOに参入するなど、競争も激化し、エネルギーベンチャーを取り巻く環境は悪化した。

 2008年のリーマンショックがとどめを差し、2000年代後半にはIPOを遂げる企業は、ほとんどなくなってしまった。

 2000年代前半に活躍した「電力ベンチャー四天王」も苦境に立たされた。外部環境の激変に振り回された結果だが、苦境に陥った原因は各企業の個別要因にもあった。

 筆者は、これらのエネルギーベンチャーと、産業リサーチャーやベンチャーキャピタリストの立場から深く関わってきたため、創業経営者には深い敬意を抱いている。しかし、あえて、エネルギーベンチャー各社が苦境に陥ったポイントを「失敗要因」と再定義し、将来への糧として提示したい。

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