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東電PG、インバランス収支409億円赤字の衝撃

「余剰インバランス問題」のインパクト

  • 日経エネルギーNext電力研究会

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2017年9月7日(木)

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 前回の当コラム「決算分析で見えた、東電・安値攻勢の秘密」で、東京電力エナジーパートナー(EP)が大量の「余剰インバランス」で収益を上げている可能性を指摘した。政府もこの問題の精査に乗り出す。今回は、東京電力パワーグリッド(PG)の「インバランス収支計算書」から、そのインパクトに迫った。

[画像のクリックで拡大表示]

 電力・ガス取引監視等委員会は8月28日、有識者会議の場で、「余剰インバランス問題」や「過剰予備力問題(予備力二重計上問題)」を精査すると表明した。

 日本卸電力取引所(JEPX)で実需給の前日に取引されるスポット市場で、需給ひっ迫から価格が高騰したにもかかわらず、当日は発電量が需要を上回るという不可思議な事態が頻繁に起きている(余剰インバランス問題)。市場で電力が不足していたのに、実際の場面では余っていたということだ。

 そして、過剰予備力問題では、一部の大手電力小売部門が、不測の事態に備えるための電源(予備力)を過剰に抱え込み、市場への売り札を本来のルールより減らしている可能性が指摘されてきた(「自由化1年目の電力市場、東電による2大事件」)。

 いずれも市場を歪めかねない問題で、このところの有識者会議でも2つの問題を追求する委員の声が強まっていた。監視委員会の精査表明は、そうした声を反映したものと言えるだろう。

 前回、「決算分析で見えた、東電・安値攻勢の秘密」で、東電EPが、前日スポット市場への売り投入を手控え、当日は余剰インバランスを出して一般送配電事業者である東電PGに買い取らせている可能性を指摘し、公正な競争に照らして問題を提起した。

インバランス収支報告書が示す事実

 今回は、この余剰インバランス問題が電力取引にもたらすインパクトについて、一般送配電事業者(大手電力の送配電部門)の収支の面から深掘りしたい。

 小売電気事業者の当日の供給電力量が、自社の顧客の総需要に対して不足していた場合(不足インバランス)、一般送配電事業者が不足分の電気を補給し、小売電気事業者がその不足分を「インバランス料金」で買い取る(支払う)。逆に供給量が需要を上回ったとき(余剰インバランス)は、余剰分を一般送配電事業者が引き取る。小売電気事業者から見れば売り渡すことになる。これをインバランス精算と呼ぶ。

 この一連のやりとりを通して、一般送配電事業者は小売電気事業者や発電事業者が出したインバランスを調整し、最終的にエリア内の需給を一致させ、電気の安定供給を確保している。

 この最終的な需給調整にかかるコストは、託送料金(ネットワーク利用料)としてすべての需要家が負担する仕組みになっている。全面自由化後も公共部門として規制事業に位置づけられている一般送配電事業者は、託送事業の収支公表が義務付けられており、その一環として「インバランス収支計算書」が公開されている。政府による託送料金の認可のベースとなる数字だ。

コメント4件コメント/レビュー

 予定された電力システム改革のスケジュールによれば、電力会社は2020年4月までに送配電事業を別会社化するよう要求されている。東京電力はそれに先駆けて持株会社制を導入し、送配電事業だけでなく、小売事業も別会社にした。東電の自主的な取組みのおかげで、自由化に伴うグループ間取引の具体的な課題点が早めに見えて来たとも言える。

 送配電事業を分社化すること自体が自由化の目的ではないだろう。新規参入者との競争環境をできるだけ公平なものにするためには、電力会社の親会社・子会社間の行為規制を具体的にどう定めるかが重要になる。東電の先行例を最大限に活用し、実効性のある行為規制のための議論が深まることを期待したい。(2017/09/12 12:02)

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いただいたコメント

 予定された電力システム改革のスケジュールによれば、電力会社は2020年4月までに送配電事業を別会社化するよう要求されている。東京電力はそれに先駆けて持株会社制を導入し、送配電事業だけでなく、小売事業も別会社にした。東電の自主的な取組みのおかげで、自由化に伴うグループ間取引の具体的な課題点が早めに見えて来たとも言える。

 送配電事業を分社化すること自体が自由化の目的ではないだろう。新規参入者との競争環境をできるだけ公平なものにするためには、電力会社の親会社・子会社間の行為規制を具体的にどう定めるかが重要になる。東電の先行例を最大限に活用し、実効性のある行為規制のための議論が深まることを期待したい。(2017/09/12 12:02)

記事:●電力システム改革は供給側の論理から需要家側に主権が移行する改革だ。需要家ファーストを目指す電力ビジネスの民主化である。●日本経済は、電力需要が伸びない低成長経済が定常状態となっている。余剰の電源は見直されるタイミングにきている。●市場価格は基本的に限界費用ベースで決まることが恒常化すると予想される。そうした環境下でも需要家ニーズに真摯に応えられるビジネスモデルが、これから求められる電気事業者像であり、社会の姿だ。●電気事業法の役割や位置づけを見つめ直し、新たな枠組みを根本から整備すべき時期がきていると認識して取り組みを始める必要があろう。
⇒コメント★:電力ビジネスの民主化である、と言う観点にはハッ!とさせられた。そう言う事であったのか!と。政党で、そう言う認識がある党はあるのだろうか?
⇒コメント★:低成長経済を前提としては、夢が無い。衰退の道である。イノベーションによって経済発展する、と言う想定が求められる。⇒コメント★:電気事業法は、憲法根拠があるのだろうか?憲法条文には明確には規定が無くて、何らかのこじつけで根拠とされているのか?(2017/09/07 15:56)

『9電力会社のインバランス収支比較』の票を見ると地域経済の大きいところはマイナスで出ている。東京圏の経済規模は他地域に比べてずば抜けて大きい。記事は全体的にアンチ東電の意図で書かれている印象が残る。軽税規模に対してインバランス収支がどのように影響されるかということをデータをもって書いてくれないと、この記事が対東伝競争優位性と確保する目的のプロパガンダのように思えてならない。(2017/09/07 07:46)

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