• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

エネルギー界の新星「オイルサンド」の異変

「非在来型原油」の行く手に漂う暗雲

  • 石油経済研究会 中田雅彦

バックナンバー

2017年11月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 こうした問題を回避する手法として開発されたのがSAGD法である。新規の油田開発ではSAGD法への移行が進んでいる。いずれ、露天掘り生産を上回るだろう。

 SAGD法は、オイルサンド資源が存在する地下の一帯を高温蒸気で加熱して、溶出した油分を地上に取り出す(図1)。汚染や掘削深度の問題は緩和できるが、熱エネルギーの消費は露天掘りと大きく変わらないため、エネルギーコストの問題まで解決できるわけではない。

蒸気で過熱して油分を抽出
図1●オイルサンドの生産方法「SAGD」(出所:ロンドン地質学会)。Reservoir(貯留層)、Steam Injection Wellbore(蒸気注入井戸)、Oil production Wellbore(オイル生産井戸)
[画像のクリックで拡大表示]

順調な増産の影で始まった異変

 重質の油分は、そのままでは流動性が低く、パイプラインによる輸送ができないため、水素を添加して粘度を低下させる。幸運なことにカナダでは、天然ガスが豊富に採掘されるため、天然ガス由来の水素は豊富だ。オイルサンドを市場で利用可能な原油にするまでに大量の熱エネルギーや水素を消費するため、これがコスト上昇要因になると同時に、大量のCO2発生にもつながる。

 カナダのオイルサンドは、統計上の原油可採埋蔵量としてはベネズエラの重質油(*1)、サウジアラビアの在来型原油に次いで世界第3位である。埋蔵量が多いことも、原油生産国としてのカナダの将来が期待されていた理由である。

*1:ベネズエラの重質油は、埋蔵量は多いが、カナダのオイルサンドと同様、高コスト問題を抱える上に、政情の不安定さやベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の不透明な経営、停滞する開発投資などのため、近年、生産量は低下の一途をたどり、回復は当分見込めない状況にある。

 現在、世界で代表的なオイルサンド生産地域となったカナダ・アルバータ州北部の極寒の地、フォート・マクマレイで加サンコーエナジー(Suncor Energy)がオイルサンドの生産を始めたのは1967年のことだった。それから、既に50年が経過している。

 これまでのカナダにおけるオイルサンドの生産量の変遷を図2に示す。図1に示したSAGD法による生産が増加していることが分かる。2014年以前にかなり多くの事業開始が承認され、それらの大半は生産が開始され現在の生産量を支えている。しかし、この図に見られるようなこれまでの順調な増産に、最近、陰りが見えてきた。

ここまで生産量は順調に増えてきたが・・・
図2●カナダにおけるオイルサンドの生産量(出所:Alberta Energy Regulator)。Mining(露天掘り)、In Situ(地層内回収)。SAGDは地層内回収の1手法
[画像のクリックで拡大表示]

コメント1件コメント/レビュー

オイルサンド採掘の採算がとれないくらいに市場価格が下がっているのは、日本の様な輸入国にとっては基本的にはありがたいことではないかと。(2017/11/14 13:47)

「From 日経エネルギーNext」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

オイルサンド採掘の採算がとれないくらいに市場価格が下がっているのは、日本の様な輸入国にとっては基本的にはありがたいことではないかと。(2017/11/14 13:47)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授