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JR東海・名誉会長「JR北海道の30年は検証必要」

JR東海 葛西敬之・代表取締役名誉会長インタビュー(下)

2017年3月8日(水)

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 国鉄の分割民営化で、JR7社体制に移行してから4月で30年を迎える。その間、東海道新幹線の収益力に磨きがかかり、超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)の建設着工までに至った。その一方で、JR北海道のようにローカル線の赤字路線に経営が圧迫され、収益安定の見通しが立たない会社も出てきた。

 国鉄の分割民営化から東海旅客鉄道(JR東海)の経営まで主導し続けた葛西敬之名誉会長は、今のJRをどのように見ているのか。また代表取締役の立場から今後30年の展望も聞いた。

葛西 敬之(かさい よしゆき)氏
1940年生まれ。63年東京大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。69年米ウィスコンシン大学経済学修士号取得。国鉄では多くの経営計画業務に携わる。87年東海旅客鉄道(JR東海)発足と同時に取締役、95年に社長就任。2004年に会長、2014年から現職。1990年から代表取締役を務める。国家公安委員など政府の要職を歴任。(写真=村田和聡)

国鉄の分割民営化を主導した立場から、JR各社の経営をどのように見ていますか。もっと収益を高められる余地はないのでしょうか。

葛西:JR各社についてつぶさに把握しているわけではありませんが、経営の特徴をこのように見ています。

 JR東日本は首都圏の鉄道の安定的な強さと、首都圏の不動産開発によって力を強くしようとする会社。JR東海は端的に言って、「東海道新幹線会社」です。

 JR東日本の華が不動産開発だとすると、JR東海の華は鉄道輸送で、西日本はそのちょうど中間に当たります。九州は関連事業が華というように、それぞれ個性があります。

 JR四国は仕方がない面がありますが、JR北海道は30年間を本当に有効に使ったかを検証してみるべきです。やり方がいろいろあったんだろうと思います。

地理的な問題だけではないということですか。

葛西:と思うんですよ。デンマークは北海道と同じくらいの人口で、(鉄道事業は)それなりにバランスしています。

 JR北海道は借金ゼロの上に、6822億円の経営安定基金を持ってスタートしました。金利が下がったから稼げなくなったというだけでなく、もっとファンダメンタルな経営戦略で問題はなかったのでしょうか。

 戦略を立てたらそれを実行する筋肉があったかどうか。30年間、本当は何ができたのかどうかをよく見た方がいいと思います。

 大きな事故が起きてしまう前までに、設備を食いつぶしたようにも見えます。もっと早く手を打っていくことで事故を起こさずに、よりいい形がとれたかもしれない。どうにもならない路線は、トラブルが起こる前に早めに道路へ転換する努力をする余地があったかもしれません。

 国鉄を分割民営化する時には、(会社ごとに)そんなに差がでないような手当てをしました。それから30年間に何ができたか、何を成すべきだったのかはしっかり議論をすべきポイントではないでしょうか。

コメント15件コメント/レビュー

「この鉄道は日本国民の叡智と努力によって完成された」。これは、東京駅の新幹線ホームの真下にある石碑の言葉です。世界銀行から融資を受けてまで建設した財産は、葛西名誉会長が言う「東海道新幹線会社」に独り占めされています。

民営化時は三島会社との経営基盤を図る目的に、新幹線保有機構が設立されました。しかし、民営化の3年後に葛西の圧力によって解体されました(2015年10月25日の日経新聞に書いています)。彼は一部官僚の思惑だと言っていますが、JRの均衡ある発展を阻害したことは言うまでもありません。

30年経った今、JR東海はろくな努力をしなくても、33%の利益率を出しています。この数字は公共性の高い企業であるにもかかわらず、異常なものです。民営化後、JR東海が新幹線で企業努力をしたことと言えば、エクスプレス予約くらいです。これも、JR他社に販売手数料が流出しないようにするための、施策にすぎません。その証拠に、今でも新宿駅などJR東日本の駅では受け取りができません。利用者目線の欠片もない会社です。

「30年何をすべきか検討すべきだった」と言うならば、この葛西にJR北海道の経営をやらせれば良いでしょう。唯一の閑散路線である名松線を維持させたような妙案がきっと生まれるのですから。

北海道の鉄路は、そんなに甘くはありません。(2017/03/18 14:47)

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「JR東海・名誉会長「JR北海道の30年は検証必要」」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「この鉄道は日本国民の叡智と努力によって完成された」。これは、東京駅の新幹線ホームの真下にある石碑の言葉です。世界銀行から融資を受けてまで建設した財産は、葛西名誉会長が言う「東海道新幹線会社」に独り占めされています。

民営化時は三島会社との経営基盤を図る目的に、新幹線保有機構が設立されました。しかし、民営化の3年後に葛西の圧力によって解体されました(2015年10月25日の日経新聞に書いています)。彼は一部官僚の思惑だと言っていますが、JRの均衡ある発展を阻害したことは言うまでもありません。

30年経った今、JR東海はろくな努力をしなくても、33%の利益率を出しています。この数字は公共性の高い企業であるにもかかわらず、異常なものです。民営化後、JR東海が新幹線で企業努力をしたことと言えば、エクスプレス予約くらいです。これも、JR他社に販売手数料が流出しないようにするための、施策にすぎません。その証拠に、今でも新宿駅などJR東日本の駅では受け取りができません。利用者目線の欠片もない会社です。

「30年何をすべきか検討すべきだった」と言うならば、この葛西にJR北海道の経営をやらせれば良いでしょう。唯一の閑散路線である名松線を維持させたような妙案がきっと生まれるのですから。

北海道の鉄路は、そんなに甘くはありません。(2017/03/18 14:47)

この方が言うのかという感じです。新幹線で安穏としている東海。民営化前にJR東管轄のみインフラ整備を進めていた東日本。国鉄内(東日本内)の嫌われ者大鉄局が中心となったJR西日本
それぞれに個性は確かにあります。 

JR東海においては新大阪改良工事において日々変わる工事内容作業ルートを現場職員にに伝えておらず隣で在来線などの改良工事をやっているJR西日本管内の職員から作業説明を受けて工事作業をするなどの不手際が続いておりました。一歩間違えば大事故にもつながりかねない事態に安全を軽視している東海上層部と現場との対立があったとも聞きます。(2017/03/14 11:00)

随分のんびりした考え方を持った方です。東北関東地震という歴史的災害が起こった後も、リニアの再検討とか現在の新幹線の危険性とかについて何の懸念も持っていない方と思われて首をかしげます。
さらに日経さんも、この点を全然質問していないし、リニアについて一切疑問も持っていないようです。FR東海がいまやるべきことは、果たして災害にさいして現在の新幹線をほったらかしにして、早いだけが取り柄のリニアを継続実施するべきかどうかであると小生は考えています。東北地震が起きる前に計画された大事業を未曽有の事故が起こったにもかかわらず全く事業の計画についあて再構築せずに、赤ん坊のいたずらのようにそのままつづけて良いのでしょうか?JR東海の将来像に関してなんの懸念も持っていなのでしょうか?運輸を受け持つ会社は国民の安全を第一に考えることが本文で、経営は二の次で結構。
日経さんももっと真剣に媒体力を発揮して、鋭い質問をしてください!(2017/03/10 19:37)

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