• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

認知症の親の介護、身内より他人に任せた方が…

「となりのかいご」代表理事・川内 潤さん(その2)

2018年3月19日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(前回から読む

 『母さん、ごめん。』の著者、松浦晋也さんと、NPO法人「となりのかいご」の代表理事、川内潤さんが、松浦さんがお母さんを介護した現場である、ご自宅で「会社員の息子が母親を介護する」ことについて、語り合います。

松浦:私が、介護の辛さから母親を叩いてしまったことを、妹がケアマネージャー(以下ケアマネ)さんに相談したところ、ケアマネさんは私と母親の距離を開けて冷却するために、すぐに母のショートステイ先を手配してくれました(経緯は「果てなき介護に疲れ、ついに母に手をあげた日」参照)。

 川内さん、ちなみに、もしケアマネさんが「大変ですね」と言うだけで自ら動くことをしなかったなら、家族の側はどうなってしまうのでしょうか?

川内:何が起きるかというと、自分でショート(ステイ先)を探すしかないわけです。

松浦:自力で探さなくちゃいけないとなると、それはつらい!

Y:で、その自分は、お母さんを殴ってしまうくらい限界まで追い詰められている状態なんですよね?

川内:はい。「自分が限界だからショートステイとかないんかいな」と、切羽詰まった状態で探すことになります。

川内 潤(かわうち・じゅん)1980年生まれ。老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、2008年に市民団体「となりのかいご」設立。2014年に「となりのかいご」をNPO法人化、代表理事に就任。ミッションは「家族を大切に思い一生懸命介護するからこそ虐待してしまうプロセスを断ち切る」こと。誰もが自然に家族の介護に向かうことができる社会の実現を目指し、日々奮闘中。

Y:うわあ……。

川内:「こっち(介護者)が言わない限り、向こう(介護サービス)から何か来るということはない」という状況になってしまうと、本当に介護者は大変です。たとえばデイサービスでも、被介護者の状況次第で、どこでもいいというわけいかない。家から出るのをいやがる方なら、ちゃんとそういうお誘いができるところはどこなんだろう、とか、状況に合わせて考えねばならない。

 ケアマネにはそれだけのことが求められていますし、そこまで踏み込んで介護者の力になれる人かどうかというのは……ケアマネの資格試験には、一応そういう項目も出てきますけれど、現場でそれを実行するかどうか、技量があるかどうかは、1人ひとりに任せられちゃっているところがあるんです。なので、松浦さんは本当に優秀なケアマネさんが付かれていたんだなと思いました。

 もう1つ、本を読んで気になったことがあるんですが、よろしいですか。

松浦:どうぞ。

「他人の言うことなら聞く」って傷付きませんか?

川内:最初のデイサービスの利用の日に、松浦さんが一生懸命お母様に「デイサービスに行ってください」と言ってもだめだったという話があるじゃないですか。それがデイサービスのイケメンが来たら、急に「あらそうなの?」みたいなことになった(「『イヤ、行かない』母即答、施設通所初日の戦い」)。

 これは本当によくある話で。私もそういうふうにして――私は全然イケメンじゃないですけど「編み物を教えてください」とか、すごくいろいろなお声掛けをしてお誘いしたことがもう何度もあります。その、自分が言ってもダメだったのが、スタッフがさらっとお母様を動かしてしまったときの印象はどうでしたか。「何で自分じゃだめなんだろう」みたいな気持ちにはならなかったですか。

松浦:そのときは、「これは身内がやるよりも、他人がやった方がいいんだな」と思いました。

コメント1件コメント/レビュー

松浦さんの「自分の決定権がない。…これは経験がないので分かりませんが、たぶん、小さな子供のいる方はみんな同じストレスを抱えているんだろうな。」「いずれ自分の番が来ることを考えると、自分がそうなっていった場合どう振る舞うべきか。いや、そもそも振る舞えるのか。認知症になっちゃったらそういうことを考える意識自体が問題になるぞ、というのはものすごく考えますね。」というお話に、深く同じ思いを抱いています。私も同年齢・独り者ですが、子育てをせず自分の時間・自由を使っておりました。そうすると、キリギリスとしては、いずれ自分の身は自分で片付けるしかない。
子供の世話には、という方も、なんやかんやで子どもなりが関わって、なんとか老年を全うする。大した親孝行もしていない不肖の子ですが、介護は自分の今までの生き方や未来と向き合わなくてはならないので、その点も精神的に辛いですね。でも、向き合わずにはいられなくなった今、松浦さんの記事を読むのも辛いのですが、みんな同じ道を歩むしかないという不思議な救いのようなものも感じます。(2018/03/24 21:51)

オススメ情報

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

一覧

「認知症の親の介護、身内より他人に任せた方が…」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

松浦さんの「自分の決定権がない。…これは経験がないので分かりませんが、たぶん、小さな子供のいる方はみんな同じストレスを抱えているんだろうな。」「いずれ自分の番が来ることを考えると、自分がそうなっていった場合どう振る舞うべきか。いや、そもそも振る舞えるのか。認知症になっちゃったらそういうことを考える意識自体が問題になるぞ、というのはものすごく考えますね。」というお話に、深く同じ思いを抱いています。私も同年齢・独り者ですが、子育てをせず自分の時間・自由を使っておりました。そうすると、キリギリスとしては、いずれ自分の身は自分で片付けるしかない。
子供の世話には、という方も、なんやかんやで子どもなりが関わって、なんとか老年を全うする。大した親孝行もしていない不肖の子ですが、介護は自分の今までの生き方や未来と向き合わなくてはならないので、その点も精神的に辛いですね。でも、向き合わずにはいられなくなった今、松浦さんの記事を読むのも辛いのですが、みんな同じ道を歩むしかないという不思議な救いのようなものも感じます。(2018/03/24 21:51)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

地球環境への貢献と事業の成長は矛盾なく、ともに追求できると信じている。

井上 礼之 ダイキン工業会長